事業領域を論理的に決める〜環境分析ツールについて〜

事業領域は、あなたが定めた企業の理念やビジョンを価値として提供するためのフィールドです。つまり、そのフィールドの選び方によって、顧客の数(ニーズのボリューム)も競合数も大きく変わってきます。ただ漠然と根拠もなく決めたのでは、あなたの目指す姿は実現できません。論理的に事業領域を選定していきましょう。

事業領域の決め方

おおくぼ
(行政書士)

事業領域(ドメイン)は、あなたが勝負するフィールドです。勝負は勝つためにするものです。しっかり、調査(外部・内部環境分析)を行いましょう。

事業領域(ドメイン)とは、あなたが展開しようとしている事業の範囲を示す概念です。基本理念やビジョンといった企業としての目指す姿(大元の部分)と、環境分析を踏まえてあなたが取るべき手段を合わせて設定します。ここで決める事業領域が、この後に策定する戦略・戦術に関わってくるため非常に重要なポイントになります。

ドメイン設定の2つの側面

※出典:『経営戦略の基本』経営戦略研究所

環境分析は、外部環境と内部環境の両側面から分析し、統合させて自社が戦うべきフィールドや手法を導き出して行きます。外部分析ではPEST分析、5Force分析、3C分析、内部分析ではSWOT分析のフレームワークから導き出してみましょう。

外部環境を分析する

PEST分析

PEST分析は、起業を取り巻く外部環境をマクロの視点で分析するフレームワークです。外部環境の中でも、「政治(Politics)」「経済(Economy)」「社会(Society)」「技術(Technology)」の側面から、事業活動に与える要素を分析します。分析のポイントとしては、自社及びステークホルダーへの影響が高い項目は何か、また、各要素がなぜ自社に影響を与えるのか、どのように影響を与えるのかを分析することです。事業への機会と脅威を明らかにさせていきましょう。

PEST分析の概要
出典:『経営戦略の基本』経営戦略研究所 p39(一部省略)

5Force分析

5Force分析は業界を分析する代表定期な手法で、企業戦略論で有名なマイケル・ポーター教授が提唱しました。企業の収益は、その企業を取り囲む様々な関係者によって影響を受けます。企業に影響を与えうる存在を、「業界内の競合」「新規参入の脅威」「代替品の脅威」「供給者の交渉力」「顧客の交渉力」の5つから捉え、自社にとってどのように影響を与えるのかを分析をします。

5Force分析の概要
出典:『経営戦略の基本』経営戦略研究所 p40

3C分析

3C分析では、まずは顧客のニーズや購買要因について調べます。漠然とした顧客層ではなく、どのようなニーズや解決したい悩みがあって、それが購買行動につながっているのかを特定する必要があります。なぜならば、顧客を特定しなければ競合が見えてこないはずです。マーケット(ニーズや購買要因)の本質が何なのかをしっかり見極めましょう。

次に、そのマーケットの競合を分析します。目立っている競合は裏を返せば“成功している”企業です。決して、競合がいるからと悲観する必要はありません。まずはそこに確かなマーケットがあることに安心しましょう。競合の成功要因(=勝ちパターン=KFS)を見つけましょう。

そして、あなたのビジネスの強みと弱みから、市場との差を把握し、成功要因(=勝ちパターン)に対してどのような手段が有効かを見出します。

3C分析の概要
出典:『経営戦略の基本』経営戦略研究所 p50(一部省略)

内部環境を分析する

SWOT分析① 〜強み・弱み・機会・脅威の視点で整理する〜

SWOTとは、「強み(Strength)」「弱み(Weakness)」「機会(Opportunity)」「脅威(Threats)」の頭文字をとったものです。事業を取り巻く環境を内部環境の強み・弱み、外部環境の機会・脅威の側面から分析します。外部環境については、PEST分析、5Force分析、3C分析でも分析しています。それらを「機会」「脅威」といった側面で整理し直しましょう。

また、SWOT分析をする際にはただ単語を羅列させるのはなく、文章で挙げていきましょう。

SWOT分析

SWOT分析② 〜4要素を組み合わせて打ち手の報告性を具体化する〜

「強み」「弱み」「機会」「脅威」が整理できたら、次は打ち手の方向性を具体化していきます。それぞれの内部環境と外部環境の要素を組み合わせて検討をしていきます。ここでも、まずは考えられる解決策を列挙していきます。こうすることで課題が明確になっていきます。

対策を立てる上で、全てをクリアをすることはなかなか難しいと思います。列挙した対策から、現実可能なもの最も効果の高い方法を選択していきましょう。

おおくぼ
(行政書士)

どうでしょうか…?だいぶ具体的にやるべき戦略が見えてきたのではないでしょうか?

事業領域(ドメイン)を決定する

環境分析がしっかりできたら、あなたが目指すべき企業理念を実現させるためのフィールドを選定します。

企業理念を実現させるためのフィールドで、あなたは「価値」を提供していくことになります。事業領域を選定する際には、その「価値」を「誰に」「何を」「どうやって」提供するかを意識して選定していきましょう。

おおくぼ
(行政書士)

当然、価値を提供する相手や手段がないフィールドは事業領域(ドメイン)とはなり得ません。環境分析はとても大切です。

参考文献

経営戦略研究所『経営戦略の基本』
日本実業出版社
2008年11月20日発売

まとめ

以上、事業領域の決め方について解説致しました。事業領域を決める際には、まずあなたのビジネスを取り囲む外部環境と内部環境を分析します。外部環境では、マクロ経済の視点で「政治」「経済」「社会」「技術」の面で、またあなたのビジネスの競合や取引先等の関係する業界について分析します。内部分析では、あなたの強みと弱みについて分析し、あなたの魅力が最大限に引き出すことができる打ち手を導き出していきます。最後に、その打ち手を活かすフィールド(事業領域=ドメイン)を選定していきます。

ABOUT US

おおくぼあきこ行政書士
東京都行政書士会所属 行政書士(登録番号:20080167) クライアントの視点を第一に、明るい笑顔と前向きな心を大切に日々業務に取り組んでおります。 <経歴> 2011年 立教大学経営学部卒業 2011〜19年 都内の菓子メーカーにて営業職として勤務 2019年 都内の行政書士事務所にて勤務 2020年 行政書士登録 2020年8月 ネクステップ行政書士事務所 開業