事業計画書は、起業を成功に導く羅針盤です。事業計画書を必要に迫られて書く人も、意識高く自主的に書く人も、事業計画書を実行した先にある「成功」を得るためにも書くべきものです。
事業計画書には、起業を成功に導く3つの大事な要素が盛り込まれています。時間もかかるし面倒に思われるかもしれませんが、チャレンジしてみてください。
もくじ
事業計画書はなぜ書くべきなのか?
事業計画書を書いた方がよい最大の理由
この記事を読まれている起業家の皆さん、どうして事業計画書を書こうと思われましたか?
- 起業するなら書いた方がいいと思ったから?
- 融資を受けるため?
- 補助金を受けるため?
- 銀行口座開設やオフィスを借りるため?
様々な理由があると思います。
一方で、事業計画書を融資を受けるために書くとして、融資を引き出せたらそれだけでいいのでしょうか?融資を検討している起業家にとっては、融資は事業を成功に導くための鍵だと思います。
しかし、本当の起業のゴールは“成功”ではないでしょうか?
起業のゴール=“成功”をどこに位置付けるかは人それぞれだと思います。
事業を営んでいる限りは継続的に収益を上げる必要があります。
事業計画書は、持続的な経営をするための羅針盤です。決して大袈裟な言い方ではありません。しっかりと作り込まれた事業計画書は、あなたの起業リスクを最小限に低下させることができます。
事業計画書は、全ての起業家が書くべきツールなのです。
何のために・誰に向けた事業計画書なのか
事業計画書を書こうと思われた方は2通りのパターンがあると思います。
一つは「必要に迫られて(提出しなければならない)」、もう一つは「意識の高い起業家」だと思います。
どちらのパターンであっても、その事業計画書を見せる「相手」がいるはずです。
大事なことは見せる相手の“トーン・マナー”に合わせなければ、“理解を得られない”ということです。
例えば、金融機関向けの事業計画書では、A4縦のフォーマットであることが多いです。添付書類に補足を提出するとして、A4横のものを何十ページを添付するのはどうでしょうか?それは自分よがりな行為で“迷惑”でしかありません。また、融資担当者が特に知りたい内容は「収支計画」についてです。以上のことから、金融機関向けの事業計画書は、A4縦でわかりやすく論点をまとめ、また売上の根拠の説明を重点的にすることで、収支計画には問題ないことをアピールします。
このように、相手によって事業計画書のアピールポイントや書式を変えていく必要があります。巷の書籍やインターネットの情報では様々な意見がありますが、ここではまず「自分用の事業計画書」を書いて、それから目的に合わせてアレンジさせることをお勧めいたします。
なぜならば、事業計画書を「絵に描いた餅」にするのではなく「成功のための羅針盤」にしてほしいからです。
事業計画書に盛り込む内容
起業を成功に導く大事な3つの要素とは

あなたの起業・事業を成功に導く3つの要素は「仕組み」・「お金」・「行動」です。
断言します。この3つ無くして事業の継続はあり得ません。
例えば、やる気とお金があっても「収益を上げる仕組み(ビジネスモデル)」がなければ事業は成り立ちません。また、ビジネスモデルのアイディアと行動力があっても、「資金」を集められなければガソリンが入っていない自動車と同じ状態です。さらに、素晴らしいビジネスモデルと潤沢な資金があっても、行動をおこさなければ事業は始まりません。それは単なる絵に描いた餅です。
これの3つの要素は、持続的な経営を行う上で一つとして欠けてはならない要素なのです。
事業計画書の構成要素
事業計画書は、「仕組み」・「お金」・「行動」をバランスよく盛り込んだ内容である必要があります。なぜならば、事業計画書は各要素が複雑に絡み合っており、それは会社の骨組み部分にも影響します。

上記は、会社設立の事務手続きと事業計画書の位置づけを表しました。例えば資金調達では、事業計画書で創業資金の検証を行わなければ、正しい判断はできません。(そもそも、お金が足りているかどうかも判断できませんよね…?)また、特に銀行の資金調達の挑戦は1回勝負です。ダメだった場合、最低でも半年は期間をおかなければなりません。
つまり、起業をしようと思ったかなり早い段階で計画的に事業計画書を作成し、検証しておく必要があるのです。しかし、もしそこで計画がうまくいかないことがわかれば、ある意味リスクは最小に抑えられたことになります。しっかり準備をした後に再び起業を試みれば良いと思います。
少しごちゃごちゃと書いてしまいましたが、事業計画書において一通りをもれなく検証するために書くべき事項を整理しますと下記になります。
- 事業の全体像 経営者のプロフィール、起業の背景、事業コンセプト、ミッション・ビジョン等
- 事業内容 事業ドメイン、販売する商品・サービスの詳細 等
- 事業戦略 ビジネスモデル、マーケティング戦略 等
- 収支計画 損益シミュレーション、返済計画 等
- 組織 人員計画、組織体制 等
- 行動計画 アクションプラン 等
上記の項目を網羅することによって、事業計画書に必要な要素である「仕組み」「お金」「行動」の3要素を漏れなく検討することができます。
ポイント1 「仕組み」を明確にする

事業計画書の「はじまり」は、あなたがビジネスで目指す姿を示すところから始まります。ビジネスにおいてあなたが「どのような商売をしたいか」、ということの前に、「どのような想いを持って商売をしたいか」という軸を決める必要があります。そのために、まずはあなたの内にある目指すべき姿=企業理念を定めます。そこを軸に事業領域(ドメイン)を決定し、ビジネスモデルへ落とし込みをします。
ビジネスの事業意義はなんですか?
まずは、あなたのビジネスに対する“想い”を企業理念とビジョンに落とし込んでいきましょう。
企業理念・ビジョンは、あなたの事業計画の全体像を端的に示すものです。将来にわたって掲げていけるものを作っていきましょう。
企業理念 ビジネスをのような価値観を持って取り組むのか、また、それに取組むことの意義や担う使命は何か
ビジョン 事業が目指す目標や、将来像
指数目標 売上高、店舗数、シェア、会員数、客単価、顧客満足度 等
改善目標 コスト削減、ロス率削減、在庫率削減、残業時間削減 等
人材目標 生産性、1人当たりの売上高 等
事業領域(ドメイン)を決めましょう
事業領域(ドメイン)は、「企業理念」や「ビジョン」を実現させるフィールドになります。
事業領域(ドメイン)の決めるには、まずは徹底的に環境分析を行うところから始めます。環境分析は外部環境と内部環境の両方の側面から行います。
なぜ、環境分析を行う必要があるかというかというと、市場は無限に広がっている一方で、あなたが持っている資本は有限です。つまり、最小限のエネルギーで最大限の効果を発揮できるフィールドを選んでいかなければ持続的な経営は実現しないのです。そのフィールドを選定するために、環境分析を行なっていきます。
外部分析 〜PEST分析、5Force分析、3C分析〜
環境分析では外部環境と内部環境の両側面から分析し、統合させて自社が戦うべきフィールドや手法を導き出して行きます。外部分析ではPEST分析、5Force分析、3C分析、のフレームワークから導き出していきます。

出典:『経営戦略の基本』経営戦略研究所 p39(一部省略)
PEST分析は、起業を取り巻く外部環境をマクロの視点で分析するフレームワークです。外部環境の中でも、「政治(Politics)」「経済(Economy)」「社会(Society)」「技術(Technology)」の側面から、事業活動に与える要素を分析します。
自社にとって影響力の高い要因を洗い出し、機会と脅威を明確にしましょう。

出典:『経営戦略の基本』経営戦略研究所 p40
次に5Force分析を行います。このフレームワークはは業界を分析する代表定期な手法で、企業戦略論で有名なマイケル・ポーター教授が提唱しました。
企業の収益は、その企業を取り囲む様々な関係者によって影響を受けます。企業に影響を与えうる存在を、「業界内の競合」「新規参入の脅威」「代替品の脅威」「供給者の交渉力」「顧客の交渉力」の5つから捉え、自社にとってどのように影響を与えるのかを分析をします。

出典:『経営戦略の基本』経営戦略研究所 p50(一部省略)
そして、3C分析を行います。これは、あなたのビジネスの強みと弱みから、市場との差を把握し、成功要因(=勝ちパターン)に対してどのような手段が有効かを見出すための分析ツールです。
まず、顧客を特定しその顧客が求めているニーズや購買要因(=マーケット)を分析します。次にそのマーケットの競合を分析します。その競合が成功している要因から勝ちパターン(=KFS)を見つけましょう。
最後に、自社であればどのようにその勝ちパターンを実践できるか、自分自身を分析します。強みや弱みからどのような手法であれば、あなたの魅力を出せるのかを見出します。
内部分析 〜SWOT分析〜

SWOTとは、「強み(Strength)」「弱み(Weakness)」「機会(Opportunity)」「脅威(Threats)」の頭文字をとったものです。事業を取り巻く環境を内部環境の強み・弱み、外部環境の機会・脅威の側面から分析します。SWOT分析をする際にはただ単語を羅列させるのはなく、文章で挙げていきましょう。

そして、「強み」「弱み」「機会」「脅威」が整理できたら、次は打ち手の方向性を具体化していきます。それぞれの内部環境と外部環境の要素を組み合わせて検討をしていきます。
PEST分析で市場の機会と脅威を明確にし、5Forceから自社の置かれている立場を把握します。そして、ターゲット(顧客)を特定し、競合の分析を行い、ターゲットへのアプローチ方法から「勝ちパターン」を見いだします。
さらに、自社の内部環境を分析し、外部環境と掛け合わせて自社の魅力が最大限に活かせる「打ち手の方向性」を具体化していく作業を経て、ドメインを決定していくことになります。
事業領域(ドメイン)の決定
事業領域(ドメイン)は外部環境分析、内部環境分析から導き出されたマーケット(=顧客のニーズや購買要因)になります。そのマーケットは、あなたが市場に価値を提供する場であり、あなたの事業の魅力が最大限に活きる場所になるように決めていきましょう。

企業理念やビジョン、そしてそれに続く企業戦略(事業領域や販売戦略、ビジネスモデル)は、一貫した軸を持つものになります。
ビジネスモデルの策定
あなたビジネスのフィールドが決まったら、そこで戦術を検討します。環境分析はしっかり行われているはずですので、自分の魅力を最大限に活かせそうなポイントを見出していきましょう。
代表的な戦術の思考ツールとして、4Pのフレームワークがあります。
製品(Product) 顧客視点、コスト、競合比較の視点から製品のラインナップを決める。ラインナップは「幅」と「奥行き」の視点で決めると良いです。この視点があると、競合との差別化もしやすいです。
価格(Price) 市場の適正価格や、顧客がその商品群に出す価格基準、そして利益をいくら取るかといった視点で決めましょう。商品イメージ(ブランド)に見合った価格せっておをすることも大事です。
流通(Place) 実店舗やインターネット、卸業者や小売業に卸すといったことを決めます。流通チャネルはコストにも関わってきます。リスクヘッジのために、複数のチャネルを検討してみてください。
販促(Promotion) 広告宣伝費、販売促進、広報PR 等 目的や顧客、商圏から適切な販促活動を選択しましょう。
上記の枠組みを利用しながら、販売戦略を決めていきます。
さらに、その販売戦略を実現するための具体的な取引先を整理していきます。その際に、ビジネスモデル・キャンパスでは、9つの要素からビジネス全体像を可視化していくと整理しやすいです。

あなたのビジネスがどのようにして利益がでる仕組みになっているかをまとめてみましょう。
ポイント2 「お金」の心配を無くす

事業計画書の「収支計画」のパートでは、収支シミュレーションと資金繰りシミュレーションを作成します。ここでは、売上目標が妥当かどうか、またキャッシュフローは問題がないかという2つの側面から検証を行います。
企業は売上をただ上げるだけでは、足りません。その売上が事業規模に見合っているのか、予定していた利益をきちんと出せているのかを検証しなければなりません。そして、「売上が立つ」タイミングと「入金がある」タイミングはイコールではありません。黒字倒産しないためにも、キャッシュフローを把握しておく必要があります。
収支シミュレーションについて
ここでは、簡単に説明するとあなたの事業における「目標売上高」を決定します。しかし、ただ目標に上げればよいだけではなく、利益についてや生産キャパ、需要があるのかといった実現可能性を計算する必要があります。

売上の妥当性の検証
収支計画では売上の予測シミュレーションを行いますが、この金額は売上目標となります。しかし、目標は掲げただけでは達成できません。それに伴う戦略・戦術がなければ達成できません。すでに販売戦略は立案されていると思いますが、改めてその手法で達成できるのかを検証します。
また、決められた設備で生産を行う必要があります。サービス業の場合はマンパワーをが十分であるかを検討します。
売上の検証方法として、売上を構成する要素を因数分解していく方法があります。
算出方法については、日本政策金融公庫『創業の手引』で詳しく解説されています。
① 小売業・サービス業
<計算式> 1日あたりの顧客数 × 客単価 × 営業日数
<計算式> 1平米(または1坪)あたりの売上高 × 売場面積
② 飲食業、理・美容業などサービス業関係業種
<計算式> 客単価 × 席数 × 回転数 × 営業日数
③ 労働集約的な業種(自動車販売業、化粧品販売業、ビル清掃業など)
<計算式> 従業員1人当たりの売上高 × 従業員数
④ 製造業
<計算式> 製品単価 × 販売数量(または1社当たり購入量×販売先数)
⑤ 設備が直接売上に結びつき、設備単位あたりの生産能力が捉えやすい業種
<計算式> 設備の生産能力 × 設備数
掲げた売上目標が<達成可能>であり<実現可能>なものであるかを検討しましょう。
損益分岐点を算出する
損益分岐点とは「いくら売れば、利益が出るのか」のラインになります。損益分岐点以上に売上げを立てれば利益が出ますし、売上げが下回れば損失が出ます。スタートアップ企業にとって、まずはどこを目標にすればよいのかを把握するための指標になります。
大事な指標ですので、必ず算出するようにしてください。

人件費や家賃、通信費や水道光熱費等の固定費は、商品が売れたかどうかに関係なく発生します。一方の変動費は商品1個あたりにかかるコストとして計算します。そのため、1個売れればすぐに事業として利益が出るのではなく、固定費分も含めてペイできた時に利益は初めて生まれます。一方、固定費は一定のため販売数量が多ければ多いほど利益幅は上がります。
損益分岐点は、変動費と固定費から算出されます。これらの具体的な計算方法をご説明します。
<計算式> 固定費 = 役員報酬 + 一般管理部門(バックオフィス部門)で発生する費用(人件費等) + 家賃 + 水道光熱費 + 税金 等
<計算式> 変動費= 原材料費・仕入れ費 + 労務費 + 経費
原材料費・仕入れ費 製品を作るための材料費、仕入れ費
労務費 製品を作るためにかかった人件費
経費 製品を作り、提供するためにかかる諸経費(例えば製造をする工場の維持費等)

収支シミュレーションは行ったり来たりしながら行う…
収支シミュレーションは、販売戦略ともリンクしており達成可能性を加味しながら、「行ったり来たり」を繰り返しながら決めます。当然、売上高をより上げるためには販売戦略や人員計画を変更する必要があり、そうすればコストも自動的に変わります。さらに損益分岐点も変わってきますね。
身の丈に合った経営とは、ここの収支シミュレーションにつながってきます。
実現・達成な可能な範囲内で一番利益の出るスタイルを確立させてください。
資金繰りシミュレーション
ここでは、創業にかかるコスト(営業を始めるために要したコスト)とある程度の軌道に乗るまでの運転資金が手持ちの現金で足りるか、融資は必要がないか、また融資を受ける場合は返済を滞りなくすることが可能かどうかを確認します。
①創業にかかるコストを計算する
設立時の初期コスト
物件取得費(敷金、礼金、保証金、仲介手数料、家賃1ヶ月分)、工事費(内装工事費、電気、電話、ネット工事費、看板製作費)、設備・備品費(机・椅子、PC・周辺機器、電話・FAX、レジ・陳列棚・什器、文房具・封筒・印鑑)、法人設立費(設立手数料、許認可取得手続き)、宣伝広告費(ホームページ制作料、名刺・チラシ・パンフレット、ウェブ広告)、初期仕入れ費・初期人件費、その他
だいたい上記のような項目が創業コストに該当してきます。合計金額を出してみましょう。

②運転資金を計算する
次に、運転資金を計算します。
創業間もなくは、ビジネスモデルによっては売上が立ち、また入金があるまでに想像以上に時間を要する場合もあります。当然創業後しばらくは、売上も安定しないでしょう。そのため、業種にもよりますが3ヶ月〜6ヶ月の運転資金を準備しておく必要があります。この運転資金を甘くみがちですので、注意してください。
<計算式> 運転資金 = 変動費(売上原価+販売費) + 固定費(会社を維持するのにかかるもの) + 固定でかかる販売費(営業マンの人件費等)
③資金が足りているかを検討する
上記で計算ができたら、下記の表に落とし込んで資金が足りているかを検討します。

どうでしょう?自己資金は問題なく十分にありましたか?「足りる」という思い込みでスタートすると、想像以上に出費が多くあとから慌てることになります。もし、融資を検討するのであれば根拠のある金額で申し込む必要があります。根拠のない金額では、金融機関から信用を得られず融資を受けられません。融資は一度断られると、半年間はエントリーできないため申請は慎重に行いましょう。
根拠のある金額とは…
「売上金額」「融資額」「資金繰り」全てにおいて、「この事業・この人であれば返済してもらえる!」と確信を融資担当者の方に確信していただく必要があります。
④最後に資金繰りシミュレーションに落とし込んで再確認
手持ち資金、創業コスト、運転資金からを「資金繰りシミュレーション」に落とし込んでみてキャッシュフローに問題がないか再検討を行います。もし、融資を検討する場合は問題なく返済ができるかどうかを検討しましょう。
ポイント3 「行動計画」を立てて次につなげる

行動計画で大事な要素は、以下の3点になります。
- (計画を実行するための行動計画(アクションプラン )を立てる
- PDCAを回す仕組みをつくる
- リスクについてあらかじめ対策を立てておく
ポイントは、事業計画を「計画倒れ」にしないための計画と“もしも”のための計画を立てておくことです。
実行と振り返りの仕組みを作ろう
実行と振り返りのポイントは、「PDCA」を回すことにあります。

- Plan 計画
- Do 実行
- Check 評価
- Action 改善
特に、「計画」と「実行」では具体的に誰が何をやるのかを具体的に上げるようにしましょう。
整理する際には、8つの疑問詞「Who」「When」「Where」「What」「Whom」「Why」「How」「How much」を活用しましょう
計画を実行したら、必ず振り返りの時間を設けましょう。これも必ず行うようにスケジュールに組み込んでしまいましょう。例えば、毎週○曜日はミーティングを行う、四半期に一度はスポンサーを呼んで報告会を行う等といった具体的なスケジュールが決まっているとより効果的です。
リスク対策をあらかじめ計画しておこう
事業計画書は起業を成功に導くためのツールであり、リスクを最小限に抑えるためのものでもあります。事業を行ううえで、様々なリスクがあります。実際にはそれを想定しておくべきです。
- 財産の損失:災害や事故、犯罪によって会社の財産が損なわれることです。
- 収入の損失:市況の急激な変化や取引先の倒産、また株価や為替の暴落によって急減することです。
- 賠償責任:顧客や従業員、株主から訴訟をおこされることです。
- 人的喪失:経営者や従業員が急に失われることです。
- ビジネス上の損失:商品開発や事業拡張にともなう投資、財務投資などの資産運用で損益が発生すること
まずは、上記の視点からリスクの洗い出しをしてみましょう。とにかく思いつく限りのものを挙げていくことがポイントになります。次に、そのリスクの頻度や可能性、損害の大小の視点から評価をし、評価の高いものから対策案を出してみましょう。特に発生率が高く、損害も大きい場合は早急に、様々な角度から対策を講ずる必要があります。
リスクの原因を取り除く <例> 不採算事業からの撤退、リスクの高い商売の取引の中止
リスクの可能性を減らす <例> チェック体制の強化、安全対策委員会の設置
リスクに備える <例> 内部留保の準備、損害保険に加入
リスク対策の立案には3つの考え方があります。組み合わせをしながらリスク対策をしていきましょう。
撤退ラインを決めておく
また、実は撤退にかかるコストは起業における最大のコストです。(結婚生活と一緒ですね…)
最悪のケースを想定しておくことは、最大のリスク対策になります。あらかじめ計画を立てておきましょう。
第三者の目・意見を大切にする

(行政書士)
完成した「事業計画書」は、せっかくなので発表しましょう!
発表と聞くと大袈裟に感じられるかもしれませんが、せっかくなので第三者の目で見てもらい、評価をしてもらいましょう。
あなたは起業において“成功”したいはずです。恥ずかしいかもしれませんが、第三者から評価をもらうだけでもその可能性はぐっと上がります。
融資や補助金申請のために書いた人は、何かしらの評価をいただけます。融資や補助金が確定したら、あなたの事業に「お墨付き」をもらえれますね。
まとめ
以上、事業計画書の書き方について説明しました。
起業にはネガティブなイメージがつきまとっています。起業される方は少なからず「失敗したらどうしよう」と思っているはずです。起業はアイディアだけでは成功しません。仕組みや資金計画、行動計画についてしっかりと固まっていて成功します。
事業計画書は、起業において考えるべきことの必要最低限の情報を整理するためのツールです。是非とも書いてみてください。
<その事業計画書は誰のため?>