事業には様々なリスクがつきものです。これらのリスクをあらかじめ予測し対策をたてることをリスクマネジメントと言います。また、事業がうまくいかない場合に撤退のラインを決めておくことは、損失を最小に抑えることにつながります。必ず、事業計画書の策定の段階でリスクに対する対策を講じるようにしましょう。
主なリスクの種類
ビジネスにおけるリスクは様々です。その中でも、5つに分類することができます。
- 財産の損失
- 収入の損失
- 賠償責任
- 人的喪失
- ビジネス上の損失
①財産の損失は、例えば災害や事故、犯罪によって会社の財産が損なわれることです。物理的な財産だけでなく、デザインや顧客データ、ノウハウも対策がなければ簡単に盗むことができる時代です。また、これらは犯罪だからしょうがないでは済まされず、イメージダウン等の社会的な損失も発生することを忘れないでください。
②収入の損失は、市況の急激な変化や取引先の倒産、また株価や為替の暴落によって急減することです。天災等で一時的に売上が立たない状況は2000年に入ってからも何度もありました。また、アベノミクスによる為替変動も記憶に新しいのではないでしょうか?(為替変動で輸出会社は潤いましたが、原料をはじめ輸入会社は打撃を受けています。)こちらも災害や国の政策だから仕方ない、では済まされず代替案を常に持っておく必要があります。
③賠償責任は、顧客や従業員、株主から訴訟をおこされることです。スタートアップ企業においては、顧客からの賠償責任への備えは十分にしておく必要があります。
④人的損失は、経営者や従業員が急に失われることです。少人数の会社の場合、1人1人が抱える仕事やノウハウ等の割合が大きくなります。
⑤ビジネス上の損失は、商品開発や事業拡張にともなう投資、財務投資などの資産運用で損益が発生することもあります。かなりの投資で商品開発を行ったけれども、その商品が全く売れなかったと言うのはよく聞く話です。
リスク対策を考えてみる
リスクの洗い出しの際には、とにかく思いつく限りのものを挙げていくことがポイントになります。
次に、そのリスクの頻度や可能性、損害の大小の視点から評価をし、評価の高いものから対策案を出してみましょう。特に発生率が高く、損害も大きい場合は早急に、様々な角度から対策を講ずる必要があります。
リスク対策の立案には3つの考え方があります。組み合わせをしながらリスク対策をしていきましょう。
リスクの原因を取り除く <例> 不採算事業からの撤退、リスクの高い商売の取引の中止
リスクの可能性を減らす <例> チェック体制の強化、安全対策委員会の設置
リスクに備える <例> 内部留保の準備、損害保険に加入

ふむふむ。保険に入る以外にも様々な対応方法があるんですね
撤退ライン 決めていますか?
創業コストもそれなりにかかりますが、考えたくもないですが撤退コストもそれなりにかかります。

始める前から、厳しい現実ですね…
しかし、撤退は最大のリスク対策になります。これ以上赤字を増やさないためにする大事な決断です。頭ではわかっていても、その場になってしまうとそれまでの投資と時間を考えて、その決断を下すのはなかなか難しいものになってしまいます。そのため、計画段階で撤退ラインを決めておくことをおすすめします。

(行政書士)
赤字が発生した時にも、段階ごとの行動プランを設定しておくのもよいですね。単月・2ヶ月連続・半期とそのフェーズごとにとるべき行動は異なります。
まとめ
以上、リスクマネジメントについて解説致しました。あらかじめ、様々なケースを予想しておいてその対策を考えておくようにしましょう。想定されるリスクに対して、リスクを取り除く、減らす、備えるという点から考えてみましょう。また、撤退ラインをあらかじめ定めておくことは、撤退コストを最小にする最大の防御策になります。
(行政書士)
5つの視点から、リスクをまずは洗い出してみましょう。