事業計画を策定する上で、必ず売上目標は設定します。それをもとに損益シミュレーションや資金繰りのシミュレーションを立てていくための、大事な要素になります。そのため、売上目標はなんとなくで設定できるものではなく、ある程度根拠に基づいて設定しなければなりません。本編では、売上目標の実現可能性について検証方法についてご説明いたします。
売上目標は正しく設定しましょう
スタートアップ企業において「売上目標を立てる」と言うことは実は非常に複雑で簡単なことではありません。なぜならば、そのやり方を間違えるとその後の経営も誤った方向に進んでしまうからです。
当然、夢目標を気合で達成させることは長続きしない原因となり、結局絵空事になってします。だからと言って達成できそうな数字を定めると、今度は実は毎月少しだけ赤字のような状況が続き自転車操業を強いられる原因になります。
スタートアップ企業の場合においては、計画段階できちんと損益分岐点を加味した目標を立てることが求められます。その上で、実現可能性が十分にあるかを検証していく必要があります。
実現可能性の検証を3つの切り口から考える
自社の能力
現状の生産能力(設備や人)で十分に生産やサービスの提供を実現できるかしっかり検証しましょう。例えば、下記のパン屋の例で言うと、1時間に焼けるパンの最大の数が40個の場合、1時間に50個のを販売しなければ達成できません。年商3,600万円を達成するためには職人に長時間の労働をお願いすることになってしまいます。もしくは、人を新たに雇用しなければなりません。人の雇用は固定費を上げることを意味します。年商3,600万円を目指したがゆえに、赤字になっていてはなんの意味もありませんね…
<パン屋が年商3,600万円を目標とした場合>

売上を構成する要素を分けていき、それぞれが実現可能かを検証してみましょう。
顧客の需要
顧客にものやサービスを買っていただいて、初めて売上になります。その需要がなければ目標は達成しません。もし、利益を上げるためにたくさん販売することを検討した場合には、それを売る見込みがあるかを見極めないといけません。市場よりも高単価に値段を設定した場合、その値段で顧客が手にとってもらえるものにしなければならないでしょう。
需要の見極めは、アンケートやテスト販売ができたらより精度が高まりますが、難しい場合は知人やインターネットでの検索による調査を行いましょう。
競合の状況
近くに競合がいると言うことは、あなたにとってメリットでありデメリットでもあります。

(行政書士)
デメリットしかない!と思っていたら大間違いですよ〜
まず、競合が成功していればそこに市場があることが確実の事実になります。最近は、「ブルーオーシャン戦略」と言う単語が多様されておりますが、使い方が間違っていることが多いのも事実です…。
「競合がいない」=「そもそもニーズがない」
と言うことを、まず疑いましょう。競合がいない場合のニーズの見極めは、かなり慎重に行う必要があり、その手法は先ほどご説明した「テスト販売」や「アンケート調査」等のハードルが高い方法を取りましょう。このような調査を専門に行う会社もありますので、積極的に活用してください。
競合の調査を行い、先行者を研究することができるメリットもあります。そこに市場があるのは事実ですから、競合から差別化するポイントをうまく取り込めれば参入の余地はあると思います。
競合がいるからと言って、悲観せずにその相手をしっかり研究し万全の態勢を築いた上で参入しましょう!
売上目標の設定は、トライアンドエラー
結局のところ、「自社の能力」、「顧客の需要」、「競合の状況」の要素は複雑に絡み合っていて、単純にはなかなか目標が定まらないかもしれません。「目標」と聞くと身構えてしまいがちですが、確実に手の届き、そして確実に利益を出せる方法から立てることが大事です。
「売上目標」についても、それを検証するための「自社の能力」、「顧客の需要」、「競合の状況」についても現実可能性を見極めるコツとしては、より具体的な事実基づいて落とし込むことだと思います。実績、調査の結果、具体的な固有名詞、見積もり…etc 何事もなんとなくだけは避けましょう。
様々な方法を検討した上で、あなたにとって確実な方法を選んでいきましょう。
まとめ
以上、売上目標の実現可能性についての検証ポイントについて解説いたしました。まずは、自社の能力について、それから顧客の需要について、さらに競合の状況について、なるべく具体的な事実を挙げてみましょう。これら3つの要素は複雑に絡み合っていて、切り離せない部分が多いのも事実です。ときにはいったりきたりすることもあるかもしれません。でも大事なことですのでじっくり検証してみてください。
(行政書士)
売上目標の実現可能性は、「自社の能力」、「顧客の需要」、「競合の状況」から検証してみましょう。いわゆる「3C分析」(Company、Customer、Competitor)ですね。