法人設立に際して、営業年度・決算期を決める必要があります。単純に設立の月から1年としてもよいですが、気を付けるポイントがあります。一つは消費税の節税の点について、もう一つは繁忙期を避けたい点にあります。本編では営業年度の決め方のヒントを解説していきます。
法人の決算期は自由に決められる
法人の場合、個人事業主とは違い決算期は自由に決められます。上記の場合ですと、営業年度を“9月15日から1年間”とする必要はありません。営業年度を4月1日〜翌3月31日(3月決算)にすることもできます。この場合は以下のようになります。
第1期 2020年9月15日〜2021年3月31日
第2期 2021年4月1日〜2022年3月31日 (以下同じ・・・)
このように、2期目からは営業年度通りとなります。
一方で個人事業主の営業年度は決められず、1月1日〜12月31日(12月決算)と決まっております。個人事業主から法人成りをする場合、慣れた12月決算のままでもよいですし法人設立後は自由に設定されても問題ありません。
消費税課税の条件から決算期を考える
消費税は最初の2期分納付義務がない!?
消費税は、国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等及び外国貨物の引取りに課税されます。消費税ではその課税期間に係る基準期間における課税売上高が1,000万円を超えるの事業者は、納税の義務の対象となります。
基準期間:個人事業者は暦年(1/1〜12/31)、法人の場合は営業年度年度
課税売上高が1,000万円を超える事業者は、消費税を納税します。また、基準期間における課税売上高が1,000万円以下であっても、特定期間における課税売上高が1,000万円を超えた場合は、その課税期間においては課税事業者となります。特例期間とは、個人事業者の場合はその年の前年の1月1日から6月30日までの期間、法人の場合は、その営業年度の前事業年度開始の日以後6か月の期間(原則)になります。


(行政書士)
つまり、消費税のことだけを考えるのであれば、第1期目が長めになるように設定しておくと、免税である期間が延びますね。
例えば・・・ 営業年度を11月1日〜翌年10月31日に設定する場合
第1期 2020年9月15日〜2020年10月31日
第2期 2020年11月1日〜2021年10月31日
免税の期間がかなり短くなりますね・・・。
消費税の課税については、課税の仕組みが複雑です。上記は原則の説明になりますので、詳しくは国税庁HP『消費税のしくみ』を参照ください。
とは言え、繁忙期は意識して決めたほうがよい。
決算期を迎えると会社は2ヶ月以内に決算書を作成し、税務署等に法人税を申告しなければなりません。例え顧問税理士がいたとしても、打ち合わせ等に少なからず時間を割くことになります。また、同期間内に株主総会を収集する必要もあります。本業と離れた業務には違いないため慣れず時間も取られます。できれば繁忙期でない時期にじっくり腰を据えて取り組みたいものです。

(行政書士)
消費税のことは気になりますが、本業に影響が出ては本末転倒ですし、なるべく決算期が繁忙期と重なることは避けましょう!
まとめ
営業年度・決算期の決め方について解説致しました。消費税の課税については、諸条件も多く少し面倒に感じる部分もあるかもしれません。ポイントとしては、1期目は定めた営業年度次第では短くなってしまい消費税の点で損をする可能性があるということと、本業の繁忙期に税務に時間を取られないようなスケジュールを意識して決められることをお勧めします。
(行政書士)
例えば、9月15日に会社を設立した場合の決算期について見てみましょう。