会社設立において事前に“決めておくこと”7の項目〜「合同会社」編〜

事業の内容や戦略が決まったら、いよいよ次は登記に向けた準備に入ります。登記をするためには、定款が必要です。定款に書くべき内容を決める必要があります。定款は会社の憲法にあたるもので、組織・活動に定めた根本規則記した書面のことになります。本編では、この定款に書くために決めなければならないことをまとめました。

本編は合同会社編です。株式会社の場合は↓の記事を参考にしてください。

株式会社か合同会社で悩んでいる方は↓の記事を参照してください。

合同会社設立におけるフローの確認

起業予定のけいご

よし、いよいよ事業計画が完成しました!店の名前も決まったし、いよいよ会社を設立して具体的に準備を進めようと思います!!

おおくぼ
(行政書士)

順調ですね!それでは、いよいよ会社の設計図を詰めていきましょう。今までは、何を売るかやどのような戦略を行うかといったソフト面の計画をねって行きましたが、今度はどのような会社でそれを実行するかのハード面を決めていきましょう。

ここで一度、会社設立のフローを確認してみましょう。

設立のための事務作業として、まずは定款の作成を行います。今回決めることは、この定款に記載する項目になります。

定款とは:会社の憲法にあたるもので、組織・活動に定めた根本規則記した書面のこと

合同会社設立において事前に“決めておくこと”7の項目

定款には必ず記載しなければならない項目(絶対的記載事項)があります。これに加えて、定款に記載しなければ効力が発生しない項目(相対的記載事項)についても決めておきます。

絶対的記載事項

<必ず決めなければならない内容>

①目的②商号③本店の所在地④社員の氏名と住所⑤社員が有限責任社員であることを示す記載⑥社員の出資の目的と出資の科学または評価の標準

相対的記載事項

<定めがない場合にはその効力が認められない事項>

①社員の中で業務を執行する社員を定める場合の定め②代表者位を定める場合の定め③出資の払い戻しの方法についての定め④解散事由についての定め⑤会社の存続期間の定め など

任意的記載事項

<自由に定めることができる事項>

①公告の方法についての定め②事業年度③役員報酬についての定め など

起業予定のけいご

なんだか、難しそうだ・・・

おおくぼ
(行政書士)

大丈夫です!一つ一つ解説してきますね。株式会社とは、株式や役員についての決める内容が異なってきますよ。

決めること一覧

では早速、決めることを確認していきましょう。

No決めること内容
商号(社名)アルファベットや数字も可
本店所在地が同じ場合は同一称号はNG。
資本金1円〜設定可能
事業目的記載していない事業は行うことができない。将来取り組む予定がある事業は書いておきましょう。
出資者・役員役員は全員出資者となります
所在地本店所在地については、あまり変更の必要のない場所にしましょう。
設立日法務局が開いている日に手続きに行きます。その日が設立日になります。(登記完了日ではありません)
決算月・営業年度法人の場合、決算月・営業年度は事由に設定することができます。

1、商号(社名)について

会社名は「合同会社●●●」や「●●●合同会社」になります。

使える文字としては、ひらがな、カタカナ、漢字、ローマ字、アラビア数字、限られた記号(「&」(アンバサンド)「’」(アポストロフィー)「,」(コンマ)「-」(ハイフン)「.」(ピリオド)「・」(中点))を使用することができます。(記号の使用法についての詳細は、法務省HPを参照ください。)

以前は、同一称号の会社が周辺地域にある場合は使用できませんでしたが、現在では本店所在地が完全に一致しなければ問題ありません。ただし、トラブルの要因になりがちなので、できれば避けたいところです。法務局管内で類似称号調査ができますので、確認してみましょう。

起業予定のけいご

社名がなかなか決まりません・・・覚えやすく、かっこよくしたい!

おおくぼ
(行政書士)

クラウドワークスやランサーズといったクラウドソーシングでは、コンペ形式で不特定多数の人から社名やロゴを募っている方もいますよね。そういうのを頼ってもいいかもしれません。

2、資本金について

合同会社の場合は、役員は必ず出資をすることになります。この設立時役員による出資額の合計が資本金となります。資本金は登記簿謄本や決算書に載ります。そのため、あまりに低額の資本金額はやはり避けるべきです。金融機関からお金を借りたりする場合や、取引先から信用調査をされた場合に信用に欠ける原因となることがあります。また、債務超過にも陥りやすくなるためオススメできません。

おおくぼ
(行政書士)

参考までに、300万円〜1000万円で設定される方が多いようです。

3、事業目的について

会社は、定款記載の目的しか事業活動を行うことができません。例えば、事業目的に「飲食店の経営」と書かずして飲食店の運営を行うことはできません。また、許認可を取得する際にも定款は必ず確認されますので、許認可を得るためにも必要です。

事業計画の中で「いづれやろうと思っているけれども、創業時は行わない事業」もあるかと思います。しかし、必ずしも創業時に着手している事業しか定款に書けないわけではありません。将来的にやる予定のある事業目的は、最初から記載しておいたほうがよいでしょう。将来可能性があることから項目を増やす分にはいいですが、あまりに抽象的な目的(例えば「製造業」)にすると指摘されてしまうので、ある程度明確になるようにしたほうがよいですよ。

おおくぼ
(行政書士)

後日に登記に追加をしようとすると「30,000円」かかります。

4、出資者・役員について

合同会社の場合、出資者は役員になります。出資をしない人は役員にはなれません。

また、役員は「社員」と呼ばれます。合同会社の場合、代表者のことを「代表社員」、そのほかの業務を行う役員のことを「業務執行社員」(正確には、業務執行有限社員)と言います。

ちなみに合同会社の場合、役員の任期はありません。

おおくぼ
(行政書士)

合同会社の場合、名刺をどうしたらよいか悩まれる方も多くいます。

「合同会社〇〇 代表者 △△」と記載されるのがよいでしょう。

5、所在地について

会社の登記条の本店予定地を記載します。自宅を本店予定地とする場合や、営業所・テナントを本店として登記する場合があります。注意点としては、自宅、テナントいずれにしても「登記可能か」を必ずオーナーさんに確認をしてください。また、後々のことを考えると移転する可能性が低い場所を選んだほうがよいでしょう。

6、設立日について

設立日は、登記の登録手続きを法務局で行った日になります。

つまり、法務局があいている平日にしか設立できないということになります。

おおくぼ
(行政書士)

もし許認可の取得が必要な場合は、登記が完了しないと取得できないため、大安や思い入れのある日にしたい方は注意してください。

7、決算月・営業年度について

営業年度は自由に設定できます。決算月を迎えると会計報告をしなければなりません。そのため、繁忙期と決算月はなるべく過さらないようにするのがいいでしょう。また、2期目まで消費税が免税となります。決算年度を利用して免税期間を最長に設定することもできます。

まとめ

以上、合同会社における定款作成に向けて決めるべきこと7項目を解説致しました。ここさえしっかり決められば、定款作成も8割方済んだようなものです。何も考えずに決めてしまうと損してしまう部分も出てきますので、じっくり考えるようにしてください。合同会社の場合は、公証人役場における定款の認証もありません。登記手続きまでスムーズですね。

7項目が決まったら、いよいよ定款作成です。↓の記事も参考にしてみてください。

ABOUT US

おおくぼあきこ行政書士
東京都行政書士会所属 行政書士(登録番号:20080167) クライアントの視点を第一に、明るい笑顔と前向きな心を大切に日々業務に取り組んでおります。 <経歴> 2011年 立教大学経営学部卒業 2011〜19年 都内の菓子メーカーにて営業職として勤務 2019年 都内の行政書士事務所にて勤務 2020年 行政書士登録 2020年8月 ネクステップ行政書士事務所 開業