会社設立において事前に“決めておくこと”10の項目〜「株式会社」編〜

事業の内容や戦略が決まったら、いよいよ次は登記に向けた準備に入ります。登記をするためには、定款が必要です。定款に書くべき内容を決める必要があります。定款は会社の憲法にあたるもので、組織・活動に定めた根本規則記した書面のことになります。本編では、この定款に書くために決めなければならないことをまとめました。

本編は株式会社編です。合同会社の場合は↓の記事を参考にしてください。

会社設立において事前に“決めておくこと”7の項目〜「合同会社」編〜

株式会社と合同会社ってどこが違うの?設立するならどっちがいい?

株式会社設立におけるフローの確認

起業予定のけいご

よし、いよいよ事業計画が完成しました!店の名前も決まったし、いよいよ会社を設立して具体的に準備を進めようと思います!!

おおくぼ
(行政書士)

順調ですね!それでは、いよいよ会社の設計図を詰めていきましょう。今までは、何を売るかやどのような戦略を行うかといったソフト面の計画をねって行きましたが、今度はどのような会社でそれを実行するかのハード面を決めていきましょう。

ここで一度、会社設立のフローを確認してみましょう。

設立のための事務作業として、まずは定款の作成を行います。今回決めることは、この定款に記載する項目になります。

定款とは:会社の憲法にあたるもので、組織・活動に定めた根本規則を記した書面のこと

株式会社設立において事前に“決めておくこと”10の項目

定款には必ず記載しなければならない項目(絶対的記載事項)があります。これに加えて、定款に記載しなければ効力が発生しない項目(相対的記載事項)についても決めておきます。

絶対的記載事項

<必ず決めなければならない内容>

①目的②商号③本店の所在地④設立に際して出資される財産の価額又はその最低額⑤発起人の氏名・名称・住所⑥発行可能株式総数

相対的記載事項

<定めがない場合にはその効力が認められない事項>

①変態設立事項(現物出資について、財産引受、発起人の報酬その他の特別利益、設立費用)②株式の内容・種類株式の定め など

任意的記載事項

<自由に定めることができる事項>

①取締役の員数②定時株主総会の開催時期 など

起業予定のけいご

なんだか、難しそうだ・・・

おおくぼ
(行政書士)

大丈夫です!一つ一つ解説してきますね。ちなみに定款に記載した内容は、登記の後から内容を変更することも可能です。(ただし、費用はかかります。)

決めること一覧

では早速、決めることを確認していきましょう。

No決めること内容
商号(社名)アルファベットや数字も可
本店所在地が同じ場合は同一称号はNG。
資本金1円〜設定可能
事業目的記載していない事業は行うことができない。将来取り組む予定がある事業は書いておきましょう。
株主構成株式会社の場合、出資者=株主です。株主は会社に対し影響力を持つ存在になります。
役員取締役は1人以上必要です。1人の場合はその人が代表取締役になります。
所在地本店所在地については、あまり変更の必要のない場所にしましょう。
設立日法務局が開いている日に手続きに行きます。その日が設立日になります。(登記完了日ではありません)
決算月・営業年度法人の場合、決算月・営業年度は自由に設定することができます。
1株当たりの額
発行可能株式総数
あらかじめ定款に発行が可能な株式総数を決めておきます。その範囲内であれば定款の変更の必要なく増資ができます。
10役員任期2年〜10年の範囲内で設定可能

1、商号(社名)につい

会社名は「株式会社●●●」や「●●●株式会社」になります。

使える文字としては、ひらがな、カタカナ、漢字、ローマ字、アラビア数字、限られた記号(「&」(アンバサンド)「’」(アポストロフィー)「,」(コンマ)「-」(ハイフン)「.」(ピリオド)「・」(中点))を使用することができます。(記号の使用法についての詳細は、法務省HPを参照ください。)

以前は、同一称号の会社が周辺地域にある場合は使用できませんでしたが、現在では本店所在地が完全に一致しなければ問題ありません。ただし、トラブルの要因になりがちなので、できれば避けたいところです。法務局管内で類似称号調査ができますので、確認してみましょう。

起業予定のけいご

社名がなかなか決まりません・・・覚えやすく、かっこよくしたい!

おおくぼ
(行政書士)

クラウドワークスやランサーズといったクラウドソーシングでは、コンペ形式で不特定多数の人から社名やロゴを募っている方もいますよね。そういうのを頼ってもいいかもしれません。

2、資本金について

株式会社の資本金は、1円から設定することができます。ただし、資本金は登記簿謄本や決算書に載ります。例えば、金融機関からお金を借りたりする場合や、取引先から信用調査をされた場合に、あまりに低額の資本金は信用に欠ける場合があります。また、債務超過にも陥りやすくなるためオススメできません。

おおくぼ
(行政書士)

参考までに、300万円〜1000万円で設定される方が多いようです。

会社設立時における“資本金の決め方”について

3、事業目的について

会社は、定款記載の目的しか事業活動を行うことができません。例えば、事業目的に「飲食店の経営」と書かずして飲食店の運営を行うことはできません。また、許認可を取得する際にも定款は必ず確認されますので、許認可を得るためにも必要です。

事業計画の中で「いづれやろうと思っているけれども、創業時は行わない事業」もあるかと思います。しかし、必ずしも創業時に着手している事業しか定款に書けないわけではありません。将来的にやる予定のある事業目的は、最初から記載しておいたほうがよいでしょう。将来可能性があることから項目を増やす分にはいいですが、あまりに抽象的な目的(例えば「製造業」)にすると指摘されてしまうので、ある程度明確になるようにしたほうがよいですよ。

おおくぼ
(行政書士)

後日に登記に追加をしようとすると「30,000円」かかります。

4、株主構成について

“出資者=株主”を明確にしておきましょう。

おおくぼ
(行政書士)

つまり、“誰が”・“いくら”出資するか決めておくことになります。

日本においては、“所有と経営の分離”が原則ですので、“代表取締役=出資者”である必要はありません。しかし、スタートアップの場合の社長は50%以上の株式を所有していたいものです。

5、役員について

株式会社の場合、1人以上の取締役を置く必要があります。1人の場合はその人が「代表取締役」になります。

株式会社において取締役会は設置は必須なの?

6、所在地について

会社の登記条の本店予定地を記載します。自宅を本店予定地とする場合や、営業所・テナントを本店として登記する場合があります。注意点としては、自宅、テナントいずれにしても「登記可能か」を必ずオーナーさんに確認をしてください。また、後々のことを考えると移転する可能性が低い場所を選んだほうがよいでしょう。

登記の本店所在地は自宅で大丈夫?メリット・デメリットについて解説!

7、設立日について

設立日は、登記の登録手続きを法務局で行った日になります。

つまり、法務局があいている平日にしか設立できないということになります。

おおくぼ
(行政書士)

もし許認可の取得が必要な場合は、登記が完了しないと取得できないため、大安や思い入れのある日にしたい方は注意してください。

8、決算月・営業年度について

営業年度は自由に設定できます。決算月を迎えると会計報告をしなければなりません。そのため、繁忙期と決算月はなるべく過さらないようにするのがいいでしょう。また、2期目まで消費税が免税となります。決算年度を利用して免税期間を最長に設定することもできます。

法人の営業年度・決算期はどのように決めればいい?損をしないポイントを解説!

9、1株あたりの額と発行可能株式総数について

1株当たりの額も、発行可能株式総数についても自由に設定できます。発行総数は、将来会社が「定款を変更せずに」どれくらいまで資本金を増資できるかを表しています。

例えば・・・

1株あたり5万円に設定、当初発行数は100株の場合

 資本金:(5万円✖️100株=)500万円

発行総数を1000株にしておくと、5000万円まで資本金を増加することができる。

おおくぼ
(行政書士)

参考までに、1株あたり1万円か5万円で設定する会社が多いです。(計算上便利なので!)

また、定款を変更すれば資本金を増やすこともできるので、そこまで気にする必要もないです。

10、役員任期について

株式譲渡制限会社であれば、役員の任期を最大10年まで設定できます。新規設立の場合は、だいたい株式には譲渡制限をかけます。

このことから、役員の任期は2年〜10年の範囲で設定します。特段の事情がなければ、任期を10年にしておくことをお勧めいたします。

役員の更新や変更には1回「10,000円」の費用がかかります。

会社設立時の定款に定めておきたい「譲渡制限株式」とは?

まとめ

以上、株式会社における定款作成に向けて決めるべきこと10項目を解説致しました。ここさえしっかり決められば、定款作成も8割方済んだようなものです。何も考えずに決めてしまうと損してしまう部分も出てきますので、じっくり考えるようにしてください。

10項目が決まったら、いよいよ定款作成です。↓の記事も参考にしてみてください。

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行政書士
東京都行政書士会所属 行政書士(登録番号:20080167) クライアントの視点を第一に、明るい笑顔と前向きな心を大切に日々業務に取り組んでおります。 <経歴> 2011年 立教大学経営学部卒業 2011〜19年 都内の菓子メーカーにて営業職として勤務 2019年 都内の行政書士事務所にて勤務 2020年 行政書士登録 2020年8月 ネクステップ行政書士事務所 開業