会社設立には、会社印の準備をしなければなりません。よく聞く「代表者印」は印鑑登録された丸印のことです。会社運営において、実印の他にも請求書や領収書に押印する「角印」、また銀行での手続きで使用する「銀行印」が必要になります。本編ではこれらを準備するための注意点やポイントについてご説明いたします。
もくじ
会社を運営する上で必要になるハンコについて

(行政書士)
そうですね、印鑑は日本の文化なのに、いまいちよくわからないことが多いですよね。しかも、一生に一度の買い物になることを考えると慎重になりますよね。

最低限必要になる会社のハンコは「実印」・「角印」・「銀行印」の3本でしょうか?どのように使い分けるか教えてください!
代表者印(丸印)
代表者印は、会社の意思決定を示す際に必要になる印鑑で最も大事な印鑑になります。代表者印は、会社を設立する際に登記をします。個人印も同様ですが、印鑑は印鑑登録をすることで実印となります。こうすることで印鑑の押印に法的効力を持たせることができます。
代表者印を使うシーン 会社設立時の登記申請(払込証明書、登記申請書)、契約書
※注)代表者印には社長の名前が書いてあるわけではありません。
印鑑の外枠には会社の商号や屋号が入ります。内枠には役職名が書かれます。(ですので、代表者が交代するたびに作り直す必要はありません)


角印

角印は会社の認印となります。その名の通り四角い印鑑で、サイズは代表者印より少し大きいのが特徴です。対外的に発行する書類を正式に認めた証明としてに押印するものになります。
角印を使うシーン 見積書、領収書、契約書(重要な場合は、代表者印を押します)
銀行印

銀行印は会社が預金の支払いや手形・小切手に押印するため、銀行に届ける会社の印鑑です。銀行で使用する印鑑になるため、印影の悪用を避けるためにも実印とはべつに用意された方がよいです。
銀行印を使うシーン 銀行口座開設、銀行での取引

(行政書士)
よく聞く「3本セット」はこの3つです。これに加えて住所が書かれたゴム印があればバッチリです。
会社印はいつまでに用意すれば良い?

(行政書士)
ズバリ!社名が決まって、登記の準備を始めたらまず買いましょう!
会社設立のフロー
会社設立において、具体的な実務としては定款(会社の活動や組織等について定めだ文書)を作成するところから始まります。定款が完成した後、資本金の振込みを行い「払込証明書」を作成します。この払込証明書には会社の実印が必要になります。専門家に依頼をすると定款は1週間程度で完成しますので、意外に早いタイミングで印鑑は必要になります。そのため、社名が決まったら早めに印鑑の購入をしてしまいましょう。

会社設立には、会社印に加えて個人の実印も必要です
定款には個人の実印を押印します。実印は住民票のある役所で「印鑑登録」をした印鑑になります。印鑑登録の手続き自体は2、30分もあれば完結するもので、一度登録すれば印鑑カードが交付されてマイナンバーカードがあればコンビニ等でも取得できます。
個人印の押印については、「印鑑証明書」も必要になります。株式会社の場合は、発起人 各1通、役員 各1通(出資をする役員は2通)、合同会社の場合は社員 各1通必要です。これから印鑑登録をする際には登録時に必要数を取得しておくようにしましょう。
印鑑はどのようなものがよい?
印鑑をいざ購入しようとすると、様々な「素材」・「大きさ」・「書体」があり選択に迷われる方も多いのではないでしょうか。印鑑登録できれば法的には問題がないので、お気に入りを見つけてください。

思い切って奮発して愛着の湧く印鑑にするか、それとも、あまり人目につかないわけだし安さでいくか・・・
「素材」
印鑑の素材には、木や角、樹皮や金属があります。それぞれ耐久性等に特徴があります。比較的リーズナブルなものが木で、最も高いものが金属(チタン)になります。また希少素材のものには、水晶や象牙、屋久杉といったものもあります。最近では、女性向けのラインナップも豊富です。
<素材の特徴>
木材 木材ならではの模様が特徴(例:薩摩本柘、彩花)
樹皮 耐久性は他の素材と比較して欠けるが、おしゃれ(例:琥珀)
角・牙 印鑑素材として定番。(例:黒水牛、象牙)
金属 耐久性に優れている。お値段高め(例:チタン)
「大きさ」
印鑑登録をする会社実印には大きさが決められています。大きさは直径10mm以上30mm未満と決められております。(商業登記規則第9条)一般的には18mmか21mmの大きさで作られる方が多いようです。
銀行印は16.5mm、角印は21mmか24mmが一般的な大きさです。

(行政書士)
あまり大きいと、押すスペースが足りないなどの不都合も出てきてしまうため注意して下さい。
「書体」
主な書体についてご説明します。篆書体は会社の実印に最もオススメです。理由は判読が難しく偽装がされにくい書体です。また、吉相体は文字が連なっているので欠けにくく銀行印にオススメです。古印体は認印でよく使用されています。読みやすいので親しみが持てますね。
3本セットで発注される際には、篆書体か吉相体がよいでしょう。



どこで買うのがよい?
店頭(はんこ屋やデパート等)やインターネットで購入できます。
最近では、値段や品揃えを売りにした専門の印鑑通販サイトが多くなってきています。またこちらの利用も便利です。一生に一度の買い物になりますし、実物を見なければ決めかねる場合は店頭で買われるとよいでしょう。
印鑑通販サイト例 ※『ハンコヤドットコム』
※今回は『ハンコヤドットコム』の画像を使用させていいただきました。
まとめ
以上、会社運営において必要になる印鑑について説明致しました。印鑑は個人印・会社印ともに必要になります。個人印は印鑑登録された実印でなければなりません。会社設立事務の早い段階で両方とも使用しますので、なるべく早めに準備をされた方がよいでしょう。「一番安いやつでいい!」と思いながら探していくと、ついつい目移りしますよね…。一生に一度の買い物になるので、お気に入りの印鑑を見つけてください。
社名も決まったし、印鑑を発注しようと思うんですが、「丸印(代表社印)」「銀行印」「認め印」「角印」「シャチハタ」「ゴム印」…。一体どれを買ったらいいのかわかりません!