株式会社の場合、定款が完成したら公証役場で認証を受けます。本編では、“どこの公証役場”で“どのような手順”で認証をするのかをご説明します。また、必要な持ち物についても必須のものだけでなく持っていった方がよいものまで挙げますので、公証役場に行く前に是非確認してください。
もくじ
株式会社の場合、定款は公証役場で認証が必要
定款の認証とは、公証人が、正当な手続きにより定款が作成されたことを証明することをいいます。発起人らによって作成された定款は、公証役場で公証人の「認証」を受けて初めて効力を生じます。
この認証が必要になるのは、株式会社、一般社団法人、他には弁護士法人等の士業の法人です。合同会社では認証は不要です。そのため、誰からもチェックを受けることなくいきなり登記申請になります。ミスの無いよう気をつけなければなりません。
公証役場での定款認証までの手順
①まずは、定款完成!
ある程度フォーマットも決められており、楽勝かと思いきや、意外と悩まされた方も多いのではないでしょうか。たいていの方が初めての書類で自信のない方も多いと思います。でも、大丈夫です。公証役場では認証前に事前にチェックをしてもらえます。
②公証役場を探す
定款認証をお願いする公証役場を探します。日本全国どこでも良いわけではありません。会社の本店所在地のある都道府県を管轄する公証役場である必要があります。名前には○○公証役場だけでなく、○○公証センター、○○公証人合同役場などと違いはありますが、どこでも問題ありません。
公証役場の一覧はこちらで確認することができます。

(行政書士)
本店所在地を自宅にし、営業所を別に設けている場合は、自宅を管轄する公証役場に行きます。本店所在地と営業所で県をまたがっている場合は注意してください。
③定款のチェックをお願いする
定款認証を依頼する公証役場が決まったら、次は定款のチェックをお願いしましょう。まずは、公証役場に電話をして、定款の内容の確認をお願いします。公証役場によってはFAXやメールで確認してくれるところもあります。もちろん対面でも確認してもらえますので、不安が多い方は直接伺ってもよいでしょう。
チェックが終わったら結果の連絡をもらいます。その際に修正事項の確認に加えて、認証日の予約をするとスムーズです。いく前には必ず予約をしましょう。
定款チェックが終わったら、いよいよ契印を押して完成になります。
④委任状の準備
認証は基本的には、発起人全員で行きます。委任状があれば代理人にお願いできます。
発起人が複数人いる場合は、代表取締役だけでなく全員で行く必要があります。しかし、委任状があれば発起人1人に任せる、もしくは司法書士や行政書士に委任することも可能です。
定款チェックを事前にお願いしていても、当日訂正が発生することもあります。対応ができるように、捨印を押しておきましょう。
⑤いよいよ、定款認証!
ここまでの準備は大変でしたが、定款認証自体は概ねその日のうちに終わります。
定款3通のうち、1通は公証役場の控えになります。公証役場に保管する定款に収入印紙を貼付けます。1通は会社保管用、もう1通は登記申請の際に法務局に提出するものになります。定款認証が終わった後は、資本金の振込みを行い、そのほかの書類を整えて登記申請になります。
公証役場での定款認証に必要なもの
公証役場での定款認証に必要な持ち物は以下になります。
①お金 現金50,000円(認証手数料)、2,000円程度(謄本代)、40,000円(収入印紙)合計 52,000円
②収入印紙 40,000円 郵便局等で買えます。
③定款 3通印刷して、契印まで済ませてください。
④印鑑証明 発起人全員分(3ヶ月以内に取得したもの。原本)
⑤発起人の実印 訂正等が発生した場合に使用します
⑥身分証明書 運転免許証、パスポート、マイナンバーカード等
⑦委任状 代理人に依頼する発起人全員分 (日本公証人連合会HPからダウンロードできます)
また、平成30年11月より「実質的支配者となるべき者」の申告が必要になりました。これは、実質的支配者が暴力団員等でないことを申告する者になります。こちらの用紙は公証役場にもありますし、事前にダウンロードして記入して持参してもよいでしょう。
実質的支配者についての確認方法・申告書のダウンロードはこちら(日本公証人連合会HP)
まとめ
株式会社の場合、定款が完成したら公証役場で認証を受けなければなりません。登記申請には書類を作成して法務局に行くだけと思いきや、意外に重労働な関門が待っているのです…。公証役場の認証は手間ではありますが、メリットもあります。事前に定款の内容を確認してもらえます。定款の作成は誰しも初めてのことだと思いますが事前のチェックをしてもらえるとなると安心ですね。
(行政書士)
定款作成、お疲れ様でした!