会社設立をするためには、法務局に定款をはじめとする様々な書類を提出しなければなりません。定款は、会社の組織や活動に定めたもので会社の憲法にあたるものです。合同会社の定款は株式会社と異なり、公証役場での認証は必要ありません。一見手軽そうに見えますが、法律知識が0でも作れる方法をお教えします。
株式会社編・定款認証については↓からどうぞ
もくじ
そもそも定款とは何・・・?
定款について
定款とは会社の憲法にあたるもので、組織・活動に定めた根本規則を記した書面のことです。あなたが今までに練り上げてきた事業計画を実行するための組織やそのスタイルの枠組みについて書かれています。定款には、書かなければならない項目(絶対的記載事項)と、定款に記載しなければ効力が発生しない項目(相対的記載事項)、自由に定めることができる項目(任意的記載事項)があります。
合同会社の場合は、下記の内容を定めます。
<定めがない場合にはその効力が認められない事項>
①社員の中で業務を執行する社員を定める場合の定め②代表者位を定める場合の定め③出資の払い戻しの方法についての定め④解散事由についての定め⑤会社の存続期間の定め など
<自由に定めることができる事項>
①公告の方法についての定め②事業年度③役員報酬についての定め など
上記の項目は定款内で書かれるものになります。
まず、では会社の名前や事業目的、所在地等、公告方法の基本的なプロフィールが書かれています。次に出資者についてや業務執行社員、代表社員について定めてあります。まや、退社についてや利益配分について、営業年度について定めます。

いや、全然わかんないっす・・・。めっちゃ難しそう・・・

(行政書士)
これだけ見ると難しそうですね。でも大丈夫です!決めるべき内容も限られています。あとは、フォーマットに落とし込むだけです。
合同会社の定款作成時に注意点
合同会社には、定款に記載しなければ効力が発生しない項目(相対的記載事項)が32個あります。絶対的記載事項に不備があると登記申請は受理されませんが、相対的記載事項の場合は登記官が必ず確認するわけではないので、不備があっても登記される場合があります。恐ろしいものでその不備はそのときはだいたい関係なく、必要な時に発覚するものです。またフォーマットを鵜呑みにしたために、会社の実態に合っていない定款も同様で、あとから後悔することになります。
株式会社の場合は公証役場での確認の際に質問をする機会がありますが、合同会社の場合は認証不要なため機会がありません。合同会社は少ない費用で手続きも短く手軽に設置できる魅力的な会社のスタイルですが、定款で会社の実態に合わせた内容をしっかり定めておかなければならないのも事実です。あなたの合同会社の定款をあらかじめカスタマイズしておきたい場合は、商業登記の専門家である司法書士をはじめとする専門家に相談されることをおススメします。
<合同会社の定款の相対的記載事項> ※一例です
・業務執行権を持つ人を限定する場合(会社法585条4項)
・社員が死亡や、会社が合併した場合における持分の承継について(会社法608条1項)
・利益の配当の請求方法とその他の利益の配当について(会社法618条2項)
・公告方法に関する定め(会社法939条1項)←定めないと年1回官報(有料)での報告になります
法律知識0でも大丈夫!定款作成で決めるのは7項目だけ!
これだけ決めておきましょう
商号(会社の名前)
会社の名前には、ひらがな、カタカナ、漢字、ローマ字、アラビア数字、限られた記号(「&」(アンバサンド)「’」(アポストロフィー)「,」(コンマ)「-」(ハイフン)「.」(ピリオド)「・」(中点))を使用することができます。(記号の使用法についての詳細は、法務省HPを参照ください。)
また、同じ本店所在地にすでにが同じ商号の企業がある場合は使えません。
資本金
1円〜設定可能です。スタートアップの場合は、300万円〜1000万円で設定されることが多いようです。
事業目的
あなたの会社が参入しようとしているビジネスを書きます。記載していない事業は行うことができません。また、将来行う可能性があるものでも記載可能です。
出資者・役員構成について
合同会社の場合は、“出資者=役員”となります。紛らわしいですが役員も“社員”、代表者は“代表社員”となります。任期はありません。社員は有限責任で業務執行権を有します(定款で「これと異なる別段の定め」をすることも可能)。

(行政書士)
定款で、「社長は、当会社を代表する。」と定めて“社長”を名乗っちゃいましょう!
所在地
本店所在地は自宅か営業所になります。いづれにしても、登記可能かを事前に確認しておきましょう。
設立日
法務局に申請に行った日が設立日になります。郵便やオンライン申請の場合は、受理がされた日が設立日です。こだわりがある場合は、実際に法務局にいかれることをお勧めいたします。
決算月・営業年度
決算月・営業年度は自由に設定することができます。

ほえ〜、意外に難しくないんですね。これなら決められそうです。
フォーマットはダウンロードできる!
合同会社の定款のフォーマットは法務局ホームページからダウンロードできます。
発起人の人数や相対的記載事項に盛り込む内容によって、定款は変わってきます。あくまでも会社の実情に合わせて変更をする必要があります。

※参照:法務局HP ダウンロードはこちらから

(行政書士)
フォーマットが用意できたら、あとは決めた項目を落とし込んでいくだけです。
【詳細解説】各章の書き方について ※実際に登記されている定款を例に

(行政書士)
ここではスタートアップで多い社員(=出資者が)が1人の場合の内容を紹介致します!
下記の内容を、先に決めた7の基本項目にあわせるように書き換えるだけ完成します。
※法務局HPと表現の仕方が異なる場合がありますが、下記の内容は実際に登記に使用されているものですので、安心して参考にしてください。
実際の作成例 〜前半〜

実際の作成例 〜後半〜

定款の作成が終わったら
まずは再確認、それから製本して押印しましょう
定款が出来上がったら、まずは改めて確認してください。冒頭にも説明しましたが、合同会社の場合は定款に認証がありません。不備が多ければ、当然受理もされません。特に電子定款の場合は一度電子署名をしてしまうと、紙の定款のように柔軟な訂正ができないため、必ず確認を行ってください。
定款の作成が終わったら、2部印刷します。それぞれ、ホチキス留めをして製本します。もし、製本テープがあれば袋綴じにしても大丈夫です。
製本をしたら、発起人全員の実印を押印します。ここは、発起人(=出資者=役員)が押印します。また、この際にあらかじめ捨印(訂正印のかわり)をしておくと、現場での訂正対応が可能になるのでこちらも押印しておきましょう。



定款作成後の手続きのフロー
<定款作成後の流れ>

定款の作成が終わったら、資本金の払込みをします。払込みをする通帳は、発起人のものであれば新規でなくて構いません。払込みをしたら通帳のコピーをとって「払込証明書」を作成します。ホチキス留めをして、契印(割印)をすれば完成です。

また、登記申請書類を作成します。登記申請書類には定款と資本金払込書の他に、「登記申請書」「資本金決定書」「代表社員就任承諾書」「印鑑届出書」を作成します。この他にも、登録免許税納付用台紙と印鑑証明書を添えて提出します。

(行政書士)
山場は「定款」と「払込証明書」ですので、フォーマットを使えば難しくない内容です。
種類は多いですがすでに決めてある項目をフォーマットに落とし込むだけなので難しくはありません。フォーマットは法務局HPからダウンロードできます。
まとめ
以上、株式会社の定款の作り方をご説明致しました。定款は小難しいイメージを持たれていると思いますが、10の基本項目を決めておくことがポイントで難しくありません。株式会社の場合は、定款の認証が必要になるため事前に公証人の方に確認をお願いしますので、わからない場合はそこで解決できるので安心ですね。もし、さらに混み入った内容にされる場合は会社法に精通した専門家に相談されるのも一つの手段です。
<必ず決めなければならない内容>
①目的②商号③本店の所在地④社員の氏名と住所⑤社員が有限責任社員であることを示す記載⑥社員の出資の目的と出資の科学または評価の標準氏名・名称・住所⑥発行可能株式総数