会社設立をするためには、法務局に定款をはじめとする様々な書類を提出しなければなりません。定款は、会社の組織や活動に定めたもので会社の憲法にあたるものです。株式会社の場合効力を持たせるためには、公証役場で認証を行わなければなりません。「そんな仰々しい書類、自分にも作れるの!?」そう感じられている方に、法律知識が0でも作れる方法をお教えします。
合同会社編・定款認証については↓からどうぞ
もくじ
そもそも定款とは何・・・?
定款とは会社の憲法にあたるもので、組織・活動に定めた根本規則を記した書面のことです。あなたが今までに練り上げてきた事業計画を実行するための組織やそのスタイルの枠組みについて書かれています。定款には、書かなければならない項目(絶対的記載事項)と、定款に記載しなければ効力が発生しない項目(相対的記載事項)、自由に定めることができる項目(任意的記載事項)があります。
<定めがない場合にはその効力が認められない事項>
①変態設立事項(現物出資について、財産引受、発起人の報酬その他の特別利益、設立費用)②株式の内容・種類株式の定め など
<自由に定めることができる事項>
①取締役の員数②定時株主総会の開催時期 など
上記の項目は定款内で書かれるものになります。
まず、「第1章 総則」では会社の名前や事業目的、所在地等の基本的なプロフィールが書かれています。次に「第2章 株式」では株式の譲渡に関してや総発行可能株式総数、「第3章 株主総会」では株主総会の開催方法等について書かれています。「第4章 取締役及び代表取締役」では取締役の人数や選任・解任、また任期や報酬について書かれています。「第5章 計算」では事業年度や配当について、そして「第6章 附則」については資本金やそれを出資する人(発起人)について書かれます。

いや、全然わかんないっす・・・。めっちゃ難しそう・・・

(行政書士)
これだけ見ると難しそうですね。でも大丈夫です!決めるべき内容も限られています。あとは、フォーマットに落とし込むだけです。
法律知識0でも大丈夫!定款作成で決めるのは10項目だけ!
これだけ決めておきましょう
商号(会社の名前)
会社の名前には、ひらがな、カタカナ、漢字、ローマ字、アラビア数字、限られた記号(「&」(アンバサンド)「’」(アポストロフィー)「,」(コンマ)「-」(ハイフン)「.」(ピリオド)「・」(中点))を使用することができます。(記号の使用法についての詳細は、法務省HPを参照ください。)
また、同じ本店所在地にすでにが同じ商号の企業がある場合は使えません。
資本金
1円〜設定可能です。スタートアップの場合は、300万円〜1000万円で設定されることが多いようです。
事業目的
あなたの会社が参入しようとしているビジネスを書きます。記載していない事業は行うことができません。また、将来行う可能性があるものでも記載可能です。
株主構成
株式会社の場合、“出資者=株主”になります。誰がいくら出資するのかを明確にしておきましょう。
役員
株式会社の場合取締役が1人以上必要です。1人の場合はその人が代表取締役になります。
所在地
本店所在地は自宅か営業所になります。いづれにしても、登記可能かを事前に確認しておきましょう。
設立日
法務局に申請に行った日が設立日になります。郵便やオンライン申請の場合は、受理がされた日が設立日です。こだわりがある場合は、実際に法務局にいかれることをお勧めいたします。
決算月・営業年度
決算月・営業年度は自由に設定することができます。
1株当たりの額・発行可能株式総数
あらかじめ定款に発行が可能な株式総数を決めておきます。その範囲内であれば、定款の変更なく増資ができます。1株当たりの価額は1万か5万円に設定されることが多いです(計算しやすいため)
役員任期
株式会社の場合は2年〜10年の範囲内で設定可能です。特にこだわりがなければ10年をお勧めします。

ほえ〜、意外に難しくないんですね。これなら決められそうです。
フォーマットはダウンロードできる!
株式会社の定款のフォーマットは日本公証人連合会HPからダウンロードできます。
取締役の人数や取締役会設置の有無によって、定款のフォーマットは変わってきます。日本公証人連合にはパターン分けされており非常に便利です。ただし、会社の実情に合わせて変更をする必要があります。

※参照:『日本公証人連合会』HP ダウンロードはこちらから

(行政書士)
フォーマットが用意できたら、あとは決めた項目を落とし込んでいくだけです。
【詳細解説】各章の書き方について ※実際に登記されている定款を例に

(行政書士)
ここではスタートアップで多い発起人が1人の場合の内容を紹介致します!
下記の内容を、先に決めた10の基本項目にあわせるように書き換えるだけ完成します。
※日本公証人連合会HPと表現の仕方が異なる場合がありますが、下記の内容は実際に登記に使用されているものですので、安心して参考にしてください。
第1章 総則

第2章 株式

第3章 株主総会

第4章 取締役及び代表取締役

第5章 計算

第6章 附則

定款の作成が終わったら
まずは公証役場にチェックの依頼、それから製本して押印しましょう
定款が出来上がったら、それを公証役場に内容を確認してもらいます。本店所在地のある都道府県内であればどこの公証役場でも大丈夫です。メールやファックスでも確認をしてもらえます。もし、分からない部分が多く不安があれば直接打ち合わせに行くのも大丈夫です。特に電子定款の場合は一度電子署名をしてしまうと、紙の定款のように柔軟な訂正ができないため、必ず確認を行ってください。事前の確認が終わったら認証の日を予約します。
定款の作成が終わったら、3部印刷します。それぞれ、ホチキス留めをして製本します。もし、製本テープがあれば袋綴じにしても大丈夫です。
製本をしたら、発起人全員の実印を押印します。ここは、発起人(=出資者)が押印します。設立時、役員(=出資しない人も役員になれます)の押印ではないので注意してください。また、この際にあらかじめ捨印(訂正印のかわり)をしておくと、現場での訂正対応が可能になるのでこちらも押印しておきましょう。



公証役場での認証手続き
認証には原則、発起人全員で行きます。都合がつかない場合は、委任状を用意しましょう。(日本公証人連合会HPからダウンロードできます)認証手続きは原則、即日で完了します。
<公証役場への持ち物>
①お金 現金50,000円(認証手数料)、2,000円程度(謄本代)、40,000円(収入印紙)合計 52,000円
②収入印紙 40,000円 郵便局等で買えます。
③定款 3通印刷して、契印まで済ませてください。
④印鑑証明 発起人全員分(3ヶ月以内に取得したもの。原本)
⑤発起人の実印 訂正等が発生した場合に使用します
⑥身分証明書 運転免許証、パスポート、マイナンバーカード等
⑦委任状 代理人に依頼する発起人全員分

(行政書士)
認証が済んだら、定款は完成です。大変お疲れ様でした!
認証後の手続きのフロー
<定款作成後の流れ>

定款の認証が終わったら、資本金の払込みをします。払込みをする通帳は、発起人のものであれば新規でなくて構いません。払込みをしたら通帳のコピーをとって「払込証明書」を作成します。ホチキス留めをして、割印をすれば完成です。

また、登記申請書類を作成します。登記申請書類は「定款」、「資本金の払込証明書」以外に、「発起人決議書」「発起人会議事録」「代表取締役選定書」「取締役就任承諾書」「監査役承認書」「印鑑届出書」を作成します。この他にも、登録免許税納付用台紙と印鑑証明書を添えて提出します。

(行政書士)
山場は「定款」と「払込証明書」ですので、フォーマットを使えば難しくない内容です。
種類は多いですがすでに決めてある項目をフォーマットに落とし込むだけなので難しくはありません。フォーマットは法務局HPからダウンロードできます。
まとめ
以上、株式会社の定款の作り方をご説明致しました。定款は小難しいイメージを持たれていると思いますが、10の基本項目を決めておくことがポイントで難しくありません。株式会社の場合は、定款の認証が必要になるため事前に公証人の方に確認をお願いしますので、わからない場合はそこで解決できるので安心ですね。もし、さらに混み入った内容にされる場合は会社法に精通した専門家に相談されるのも一つの手段です。
<必ず決めなければならない内容>
①目的②商号③本店の所在地④設立に際して出資される財産の価額又はその最低額⑤発起人の氏名・名称・住所⑥発行可能株式総数