起業や副業のスタートはたいてい一人で孤独です。できれば、孤軍奮闘状態ではなく家族や恋人から応援されながら仕事をするのがベストですよね。
実は、家族や恋人から起業を反対される人は少なくありません。起業する本人自身も、「家事や育児、介護に影響出てしまったら・・・」と家族の存在が起業を思いとどまらせているのも事実です。
本編では家族から理解を得られなかったらどうしよう!?と悩む方々へ、その方法を先輩起業家の例を踏まえて解説して行きたく思います。
もくじ
そもそも家族や恋人にバレずに起業する方法ってあるの?

私はもともと会社員でした。趣味と小遣い稼ぎを合わせて、アクセサリーを製作してネットで販売していました。3年ぐらい経った頃から、嬉しいことにファンもつきだして安定的に売り上げを立てていました。その頃には、サラリーマンの2/3の利益がすでにあって、これを機に本格的にアクセサリー販売を始めようとしました。

行政書士
家族からは反対されましたか?

うーん、はじめはやっぱり嫌な顔されましたね。でも、アクセサリーショップの拡大には、ECサイトの立ち上げは絶対やりたかったし、お互い納得して始めたかったので説得をしましたよ〜

(行政書士)
なるほど!ではまたあとで、詳しく聞かせてください。
まずは、誰に“バレたらまずいのか”をはっきりさせましょう。そして、なぜ“バレたらまずいのか”を考えましょう。
<家族にバレるポイント①>扶養に入っている場合は、それが外れた時
もしあなたが専業主婦(夫)で家庭の仕事をこなす必要があり、パートナーに知られずに起業をしたい場合、このケースですとおそらく多くの方がパートナーの扶養に入っているはずです。
この話題になると想起されるのが『〇〇万円の壁』ではないでしょうか。最近も法改正があり、よく話題になりますよね。

(行政書士)
ここでは、ポイントだけ解説します。そもそも「扶養から外れる」って何?というところから見てみましょう。
そもそもなぜ複数の『〇〇万円の壁』が存在するかというと、住民税や所得税が発生するポイント(壁)と、社会保険加入の発生するポイント(壁)がそれぞれ違うからです。節税を意識する場合は、全ての壁とパートナーの収入を勘案して計算する必要があります。
ざっくり言うといわゆる「扶養から外れる」というのは、税制上の優遇(控除)が受けられなくなるラインのことをいいます。
『103万円の壁』※雇われる場合
『103万円の壁』は所得税や住民税が発生するポイントになります。さらに、多くの企業が「103万円」を扶養手当を受けられる収入の上限に設定しています。(あくまで会社の規則であり、パートナーの就職先によってそれぞれ変わることから確認は必要です。)
また、パートナーの所得税における扶養控除が適用される金額も103万円以下になります。税制上の優遇を受けられる上限になりますので、黙っていれば税務署から指摘が“パートナーの会社”にはいることになります。
「規則違反+追納」が発覚した場合は、パートナーは会社規定の違反+脱税を会社から指摘されることになります。エライこっちゃ…

(行政書士)
何事も「自分ならバレないだろう。」という考え方はダメですよ。そういう人に限って、バレますから・・・
起業の場合は『48万円の壁』※起業・副業の方の場合
前項の場合は「給与のみ」(雇われている方)の話になります。自分で事業をやられている方は、「青色申告」「白色申告」によってさらに変わってきます。
- 白色申告の方
個人事業主、フリーランスの場合で白色申告の方は、「収入―支出<48万円」である必要があります。これ以上の場合、「扶養控除」を受けられなくなるためパートナーの会社に申告する必要があります。
- 青色申告の方
個人事業主、フリーランスの場合で青色申告の方は、「収入―支出<103万円」である必要があります。なぜ、白色申告よりも優遇されるかと言うと控除金額が「基礎控除(48万円)+青色申告控除(55万円)」となるからです。これ以上の場合、パートナーが「扶養控除」を受けられなくなるため、パートナーの会社に申告する必要があります。

(行政書士)
ポイントは収入金額が○○円以上ということではなく、あくまで「収入―支出」の金額ですよ!
『130万円の壁』※補足
これは、パートナーの社会保険の扶養から外れるラインになります。つまりは、130万円を超えると自分で社会保険料を納める必要があります。黙っていたら二重払いになってしまって、やはり指摘が入るでしょう…
ただし!この壁も要注意です。パートナーに黙って会社を設立する猛者もなかなかいないとは思いますが、株式会社・合同会社は従業員がいなくても社会保険が適用になる可能性が非常に高いです。つまり、社長の場合はあなたの年収がいくらであろうと自分で加入しなければなりません。

(行政書士)
どんなに隠しても、税金や社会保険の部分はごまかせません。パートナーの目が節穴でも、法律は守りましょう〜
<会社にバレるポイント②>副業禁止規定には気をつけて!

行政書士
タエさん、そう言えばサラリーマン時代は副業OKだったんですか?

その点は大丈夫でした!時代の流れか、途中で社内規則が変わったのがラッキーだったんですよね〜
そもそも「副業がバレる」というのはどう言う状況でしょうか。
住民税は、所得を基準に設定されます。副業者の所得は確定申告で報告するの金額(給与所得+その他で得たの収入)になります。サラリーマンの場合は、住民税決定通知書がお勤めの会社に送付されます。会社ではあなたの給料を当然把握しているため、給料に比べて住民税の額が高ければ副業がばれてしまうことになります。
副業分の住民税を給料からの天引きにすると会社にバレる可能性がありますが、「普通徴収」で納付することを選ぶことで自分で直接納付する方法を選択することもできます。こうすることで、住民税の納付書が自宅に送られてくるため会社に知られることはなくなります。
あとは会社の人に悟られないようにひっそり副業すれば問題ありません。
ただし!自治体によっては「特別徴収」を基本にしているところもあります。つまり、「普通徴収」の希望が通らない場合もあるので要注意です。

行政書士
副業がばれたくないからといって、「確定申告や住民税の申告をしない」というのは絶対にダメですよ〜
副業を本業に変えたい!あなたが家族に取るべき行動は?

(行政書士)
タエさんは、家族の納得を得られたとのことでしたが、具体的な決め手はなんだったと思いますか?

まず、趣味レベルの時にすでにスキルがあったこと、売り上げもそれなりにあったことかな…

(行政書士)
おお、それだけ武器があれば説得できそうですね〜

でも!一番の決め手はプレゼンして計画を見せたことですね!
アピールポイント① すでに副業の収入がある程度ある
もともと副業がうまくいっていて、思いきって本業を辞められる方もいますよね。よく聞くタイミングの話としては「副業の利益が本業(サラリーマン)の給料を超えた時」が挙げられます。
その心理は、「うまく行く確信」が持てた時に、副業と本業をスイッチさせることで失敗のリスクを限りなく低くすることだと思います。
しかし、日本には副業禁止規定の会社もまだまだあります。そうなればこの強みポイントは使えませんね。
アピールポイント② スキルがある
タエさんのようにアクセサリーを作る技術があったり、IT会社にお勤めでシステム構築はお手の物のように、起業前に既にスキルを持たれている方もいらっしゃると思います。また、やりたい事業に必要な免許をすでに持っている方にとってはそれが強みとなりますよね。これらのスキルを全面にアピールすることは、説得を試みる上で重要です。
アピールポイント③ プレゼンをする
本編のはじめに「なぜ、バレたらまずいのか」を意識しましょう、とお伝えしました。改めて、なぜなのかを書き出してみましょう。
- 収入が安定しないから?
- 今までやっていた家事分担が変わるかもしれないから?
- 借金作ったりしない?
- 変な客に絡まれたりしない?
- そもそもあなたの健康が心配!無理しないで!!
理由はきっと様々だと思います。パートナーを説得する時は、一番不安に思っていそうなことをアピールすることが効果的です。
おそらく多くの方が「家計は大丈夫・・・?」と思っているはずです。事業計画書を見せながら、論理的にプレゼンしてみましょう。加えて、今まで通りの生活を送れると言うことをスケジュールを見せながらアピールしてください。きっと理解を得られるはずです。

(行政書士)
ただし、あなたの収入だけをアテにしているような恋人とは別れてしまった方がよいでしょう!

そうだそうだ〜〜〜〜!!笑
まとめ
家族や恋人といったパートナーがいる場合は、なるべく事前に起業に関して理解を得ておくことが非常に大事です。多少は干渉されてしまうかもしれませんが、一番の理解者に心理的に支えられていることの安心感は、スタートアップ期には大事な要素です。
いつバレるかも!?とスリルを味わいながら準備を進めるのもいいですが、できればベストな形で開業日を迎えられたほうがいいですよね。
行政書士
タエさんの起業のストーリー、家族への説得方法を聞かせてください!