会社を辞めて独立して個人事業主やフリーランスになったら、支払う税金や社会保険(年金、健康保険)はどのように変わるかご存知でしょうか?サラリーマン時代は“給料から天引き”が当たり前でしたが、個人事業主になったら自分で支払わなければなりません。サラリーマン時代と比較して生活がどのように変わるか不安に思っている方に向けて解説をいたします!
もくじ
会社員と個人事業主では、税金・年金はこのように変わる!

(行政書士)
そうですね〜、会社員の時は会社が代わりに払っていましたからね。それに、事業の税金も増えます。一度ここで整理してみましょう
(1)税金編
税金ではサラリーマンが所得税、住民税を支払っていたのに対し、個人事業主ではさらに事業で発生した税金も課税対象となります。それは、事業税と消費税です。
- 所得税
- 住民税
- 所得税
- 住民税
- 事業税
- 消費税
消費税については条件にもよりますが、開業後2年間は課税されません。また、基準期間(1年)の課税売上高が1000万円を超える事業者が対象になります。ただし、前々年の特定期間(1/1〜6/30)における課税売上高等が1000万を超えると、基準期間における課税所得が1000万円以下であっても課税事業所になります。
参考:国税庁 『消費税のしくみ』

はぁ・・・、事業税を取られて、さらに所得税も取られるんですね・・・。どおりで払う税金が多い気がしたわ・・・
(2)社会保険編
サラリーマン時代は“社会保険”として厚生年金、健康保険、雇用保険を支払っていました。雇用保険は失業した際の給付や教育訓練給付金を受ける際の原資となっていたものです。個人事業主になると、雇用されているわけではないので支払う必要はありません。
厚生年金、健康保険については、支払う内容や金額は変わりますが国民年金、国民健康保険として退職後も支払います。詳しくは後述します。
- 厚生年金
- 健康保険
- 雇用保険
- 国民年金
- 国民健康保険

(行政書士)
サラリーマン時代に支払っていたのは、いわゆる“社会保険”というものになります。企業と折半をし給料天引きのスタイルで支払っていたかと思います。個人事業主は、その労使折半の恩恵は受けられなくなり、支払額も大幅に変わってきます。
税金について解説!

(行政書士)
特にサラリーマン時代と大きく変更となる所得税、事業税について説明します。
所得税について
所得税については、事業所得以外にも全ての所得からそれぞれ所得控除を差引き、税率を算出してから税額控除を差し引いて申告税額を計算します。ここでは、事業所得についてのみ解説致します。
まず事業所得とは、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業から生じる所得を言います。
所得の計算 事業所得=総収入金額ー必要経費(ー青色申告特別控除額)

(行政書士)
総収入金額のポイントとしては、実際に入金があった額ではなく、その年に確定した金額(未収入金含む)です。
必要経費とは
- 総収入金額に対応する売上原価その他その総収入金額を得るために直接要した費用の額
- その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額
(参考:国税庁『やさしい必要経費の知識』)
算出された所得に税率を掛けて、所得税を算出します。(税率はこちら)
※上記は、事業のみで収入を得る場合の所得税の計算方法になります。
確定申告は所得税を対象としたものですが、確定申告さえすれば住民税の申告書をする必要はありません。年税額を4回に分けて納付します。
事業税について
個人事業税は、都道府県が課税する地方税です。事業所得や、事業的規模の不動産所得がある個人に課税されます。
税額の計算個人事業税=(事業の所得の金額ー290万円)✖️税率(業種によって3%〜5%)
事業所得は、売上ではなく所得税の計算の時に算出した上記の金額です。その金額に業種によって定められた税率を掛けて算出します。
事業税の申告も確定申告をしていれば申告不要です。8月と11月の2回に分けて納付します。
社会保険の違いについて解説!
大きな変更点・ポイント
- サラリーマン時代に支払う厚生年金・健康保険については、労使折半が基本です。
→(変更後)支払う金額が大きく変わります。年金については将来受取り金額もサラリーマンと比較して少なくなることが多いため、予め貯蓄等の対策が必要です。
- 企業にお勤めだった方の多くは給料天引きだったはずです。
→(変更後)自分で支払う必要があります。
年金について
公的年金制度は、国民年金を基礎年金とした2階建ての構造になっています。1階は国民年金(20歳以上60歳未満のすべての人が加入)、2階は厚生年金(会社員等が加入)するものになります。脱サラをすると1階部分の「国民年金」のみになります。
このことから、国民年金の支払金額は、毎月16,540円(2020年)なので、サラリーマン時代の年収によっては安く感じられる方もいるかもしれません。今までは労使折半で半分は会社が支払っていたものなので、見た目は変わりますが将来の受け取り金額がかなり変わってきいます。

むむ、そうなるとしっかり資産形成しておかないと、定年後の貯金が「2000万円では足りない」可能性があるってことね・・・
健康保険について

保険料高〜い!!今まで、こんなに支払っていたの!?え、信じられない。月1回病院に行くぐらいなら、健康保険に加入しないでその都度、全額負担でいい気がしてきた…

(行政書士)
気持ちは分かりますが、健康保険は国民皆保険の考え方で強制加入になります。残念ながら選べないので、頑張って支払ってください。
国民健康保険に切替後は、全額支払うことになります。改めて、納付書が届くと“結構いい値段”を支払うことになることに気がつくと思います。毎月の支払いになるので、生活費を考える際には必ず念頭に置くようにしてください。

(行政書士)
会社で加入していた健康保険は、「継続して2ヶ月以上加入」していて且つ、「退職後20日以内に申請」すれば任意継続することができます。そうすることで、退職後2年間は退職前の健康保険に加入することができます。全額の支払いにはなりますが、任意継続の方が金額が安い場合もありますので、事前に必ず比較検討をしてください。
どうやって支払うの?
お住まいの役所や年金事務所に「離職票等」を持参して手続きをする必要があります。その場で変更手続きが終わり、後日、郵送で保険証や納付書が届きます。さらに手続きをすれば、自動引き落とし等の手続きもできますので、そうすれば支払い忘れもないですね。
まとめ
個人事業主になってサラリーマンとは大きく異なってくる税金や社会保険について説明しました。税金は支払う額も仕組みもサラリーマンとは大きく異なり、“節税”を意識していく必要がでてきます。また、健康保険、年金についても支払い金額が大きく変わってきます。特に年金については、支払う金額も将来“受け取る金額”も変わってきます。そのため、長期的な視点を持って備えていく必要があります。
ああ!もうよく分からない!!税金払っても払っても、納付書が届くんですが、どうなってるのよ〜〜