起業をする場合、資金調達を検討される方も多いと思います。創業時の場合は家族から借りたり、また日本政策金融公庫からの融資、金融機関からの信用保証協会付融資(制度融資)が代表的な方法となります。金融機関から借入をする場合、必ず「個人信用情報」が確認されます。これらは、「CIC」「JICC」はこの信用情報を調べるための機関から取得することができます。本編では「個人信用方法」について解説したく思います。
もくじ
創業融資で融資担当者がみているポイント
- 過去の経験
- 財政状況
- 事業計画(特に収支計画)の妥当性
①過去の経験について
本編で解説しているのは「創業融資」です。つまり「経営者0年生」であったり、直近の事業の状況を示す情報は乏しいはずです。しかし、そうであっても融資担当者は、あなたが「果たして本当にビジネスを軌道に載せ・その状況を維持できるのか」を気にしています。
判断材料が少ないからと言って、あなたの「経営者素質」を一切見られないわけではありません。
【Q. ネイルサロンを始めたい2人がいます。あなたらならどちらに融資しますか?】
Aさん:10年間、家具販売店で接客経験あり。退職前3年間はフロアマネージャーとしてアルバイト50人をまとめていた。ネイルについての専門学校(夜間)に通い、卒業を機に開業。
Bさん:6年間ネイルサロンで働いていた。店長経験もあり。
※融資額、自己資金の額は同じとする。

Bさんでしょうか?ネイルサロンの経験も即、活かせそうですよね。

(行政書士)
そうですね、Bさんのネイルサロンの経験は、創業融資を借りる上での強みにはなりますね。
それでは、Aさんはどうでしょうか…?

Aさんは、ネイルサロンでの経験はないですが、マネージャー職に就かれているようですし、経営者としての素質がありそうですよね。計画的に学校にも通っていて、熱意を感じます。
そうなんです。Aさん、Bさんともに過去の経験の面では問題なさそうですね。もちろん、起業するビジネスに直結する経験を持っていることに越したことはありません。しかし、そうでなくても過去の経験から自分に強みになる経験を融資担当者にアピールすることは重要です。過去から習得した経験やノウハウが、新しいビジネスでどのように活かされるかを積極的に示していきましょう。特にマネージャー経験、営業経験、接客経験は大きな強みになります。
②財政状況について
創業融資において、財政面で特に見られているのは2点です。
- 自己資金
- 信用情報
自己資金について
まず、自己資金については「自分の貯金がいくらあるか」ということが重要になります。いくら家族であっても借りたお金は「自己資金」に該当しません(最近では、認められるケースも増えてきました)。通帳を確認されて、まとまった金額の入金があると必ず内容を確認されます。
以前は最低限1/3以上自己資金がないと融資を受けられない、という時代もありましたが今は「1/10以上の自己資金」と要件は優しくなりました(ただし、これは建前上の話)。

(行政書士)
現実にはやはり、創業資金のうち1/3以上自己資金がある方が望ましいです。
少し厄介なのが、起業のために準備した貯金を「自己資金」であるということをアピールしなければなりません。つまり、お金の出どころをトレースできなければ自己資金と認められません。「タンス預金」はどこからか湧いてきたとみなされ、自己資金にカウントされません。一方、自己資産(家や車等)の売却で得たお金や保険を解約して得たお金は自己資金にみなされます。
信用情報について (本編の本題)
本編の本題部分です。

(行政書士)
住宅ローンを組まれている方は、経験・記憶にあるのではないでしょうか…?
住宅の内見に行くとよく不動産会社から聞かされるセリフがあります。

「いやあね、この物件過去にも3人の方と契約を試みたのですが、ローンの審査がダメで…」
住宅ローンの場合はその人の年収、年収の安定性、そして信用情報等から判断されていますが、この信用情報でつまずく人が多いようです。
今は、携帯をはじめローンを組むことが多くなっています。こういったローンの返済で一度でも延滞してしまうと信用情報を大きく損なうことになります。金融機関は必ず「個人信用情報」を入手して判断をすることになります(こちらについては、後述します。)
また、公共料金や税金、借入の返済も遅滞なく行われている必要があります。
個人の信用情報については、かなり重要なポイントであることには違いありません。
③事業計画(特に収支計画)の妥当性
創業融資では事業計画書の提出が求められます。融資担当者が特に注意をしてみているのが「収支計画」の部分になります。
- 投資内容と資金調達方法は妥当か
- 売上・利益に実現可能性があるか
- 資金繰りに問題ないか
当然のことですが、融資担当者が一番気にしているのは「返済能力があるか」ということです。
「事業計画書」は絵に描いた餅にしてはいけないですし、そんな計画はすぐに見破られます。絵に書いた餅ではないことをアピールするために、すでに見込み顧客がいることや潜在顧客数を積極的に開示していく必要があります。また、原価や経費についても適正であるかなども示していく必要があります。
さらに、実際に売上が立つタイミングと入金があるタイミングも異なります。そのため「黒字倒産」しないということも資金繰り表でアピールしていく必要があります。
ちなみに、事業計画書が十分にかけていないと「経営者としての素質に欠ける」と判断される要因にもなるので注意しましょう。
個人信用情報とは
個人信用情報とは何か
個人信用情報は、銀行、信用金庫、クレジットカード会社などが加盟して個人の利用状況や支払い状況を情報として蓄積されています。「CIC」「全国銀行個人信用センター」「日本信用情報機構」が代表的な機関です。
平たく言うと、「クレカやローンなどの支払状況に延滞(滞納)がない」「ブラックリストに入っていない」ということを確認できます。
一般人でも入手できる?

(行政書士)
はい、金融機関の人でなくても取得できます。
融資を考えている方で、思い当たることがある方は必ず取得してみてください。
取得は簡単にできます。
CICでは、窓口・郵送・インターネット(PC、スマホ)で簡単に開示できます。(ただし、手数料はかかります)
CICのホームページはこちら
不利な情報が見つかったら…
融資の申し込みは一度ダメだった場合には、次の申し込みに少なくとも半年は期間を開ける必要があります。
誤解を恐れずに言うのであれば【今、創業したい】創業融資においては、ほぼ一発勝負だと思ってください。
もし、未納があるのであれば申し込み前にきちんと支払うべきですし、しばらく様子をみる期間も必要なばあいもあります。
不利な情報の具合によるので、一概に融資を受けられるかどうかはお答えできませんが、「ブラックリスト」に載ってしまっている場合は難しいと言えます。
また、未納が見つかってしまった場合は、審査上は確実にマイナス評価になります。
融資を検討されている方は、直近5年間の個人信用情報はきれいにしておくことを心がけましょう。
まとめ
以上、創業融資の審査ポイントについてご説明いたしました。
経営者経験の浅いスタートアップに関しては「個人信用情報」は、融資の可否を決める非常に重要な判断材料になります。この信用情報は返済やクレカの支払いが滞りしているかを見られます。「この人に融資をしても、きちんと返済する気持ちがあるか?」ということに直結してくる部分になるため、もし不安がある人は自分でも取得をして確認をしてみてください。
(行政書士)
ズバリ!融資担当者の方がみているポイントは以下の3点です。