創業融資でポイントになるのが、自己資金です。この部分で引っかかって、融資を諦められる方がいるのも現実です。実は、「自分では自己資金と思っていたのに!?」「これも自己資金に換算されるの!?」といった誤解が多いのも自己資金です。本編では、自己資金について説明します。
融資の審査で自己資金は非常に重要!
創業融資の審査において「自己資金」は非常に重要な要素になります。
日本政策金融公庫には自己資金の要件があり、融資額の1/10以上の「自己資金」が必要となっています(2020年8月現在)。ただし、これはあくまで建前なのが現状で、実際には創業資金に対しての1/4〜1/2程度の自己資金がある方が融資が受けやすいです。
<自己資金の考え方>

自己資金の有無と事業の成功率の相関性はあまりないのではないか、と考えられるようになってきており、自己資金の重要度は下がってきています。創業後すぐに売上が立てられる状態(契約が既に決まっている)等の有利な状況があれば多少緩めに審査してくれる可能性もありますが、コネや決まった顧客等の決定打がない場合には、やはり自己資金は依然として重要になります。
自己資金の定義
自己資金は「コツコツ貯めてきた貯金」が主に想定されます。
例えば、サラリーマン時代の給料から毎月5万円を貯金していた場合、それが銀行口座で記録として残っていれば「自己資金」とみなされます。
一方で、よく勘違いされるのが下記のケースです。下記の場合は自己資金には当たりません。
- タンス預金
- 親や親戚からの借入金
- (融資の審査の時だけ)一時的に友人から借りた見せ金
「タンス預金」や「豚の貯金箱」に貯めていた「記録」に残らない預金は、自己資金となりません。いくら自分でコツコツ貯めていたとしてもダメです。もし起業を考えている方で、タンス預金がある方は1日も早く自分の口座に入金しましょう。
また、親や兄弟、親戚から借りたお金も「借入金」とみなされ「自己資金」にはなりません。例え、借用書がなく、利息が発生しない場合も同様です。
ただし、「もらったお金」は自己資金になります。しかし、急に入金したのでは「見せ金」と判断されかねないため、贈与契約をきちんと交わしましょう。
友人等から、審査の時だけお金を借りて「自己資金」のように見せるのはNGです。すぐにバレるので、「見せ金」早めましょう。
ただし、親兄弟、親戚からの借入については昨今「自己資金」とみなされるケースも出てきております。融資の相談時に担当者の方とよく確認してみてください。
「コツコツ貯めた預金」以外にも、自己資金になるものもあります。以下が一例です。
- 不動産、自動車、ブランド品、貴金属等の自分の資産を売却して得たお金
- 所有していた株式を売却した場合
- 保険を解約した際の解約返戻金
- 既に使用した開業の準備のための支出
上記は、現金化した時の領収書や、売買契約書等の証拠書類があれば自己資金とみなされます。
もし、コツコツした貯金がなくても現金化できそうなものがあれば、自己資金にできる可能性があります。
また、開業前の準備で既に支出をしているケースもあると思います。それらは領収書(レシート)が残っていれば、自己資金にみなされます。
まとめ
以上、自己資金について説明致しました。
同じ屋根の下に住む親から借りたお金は、残念ながら「借入金」扱い、一方で「車や不動産等の資産を売って得たお金」や「保険の返戻金」、「既に使用した開業のための支出」は自己資金に該当します。金融機関は独自の考えで判断しています。何が自己資金に当たるのか、よく確認してください。
(おおくぼ)
つまり、「コツコツ貯めてきた証拠」が必要です。