融資や補助金の申請書の作成にはコツがあります。しかし、そんなに難しものではなく誰にでも実践できるような簡単なポイントです。基本を守って、少しだけポイントを意識して申請書を作成してみましょう。
本編は、融資・補助金それぞれの申請書の書き方のポイントを分かりやすく解説していきたく思います。
もくじ
【共通】融資・補助金申請の際にここだけは押さえるべきポイント!
- 楽してお金を入手することはできないということを知る
- 相手を知る
- 根拠のある計画書を書く
どんな融資や補助金であっても、まずは上記の3点を抑えるようにしましょう。
そして、上記の3点を抑えた「申請書」や「事業計画書」を作成する必要があります。
当たり前のようですが、この当たり前を確実に抑えることが融資・補助金を勝ち取るための最大のポイントになります。
①楽してお金を入手することはできないということを知る

(行政書士)
これは書いたままですが、この部分を忘れているとお金を借りたり補助金を受けたくても、難しくなります。最も大事です!
融資を受ける際にも、補助金を受ける際にも、その申請書はかなりハードなものになります。
制度にもよりますが、創業融資の場合は許可率50%、補助金の場合は制度にもよりますが採択率30~50%程度しか成功しないと言われています。
つまり、申請すれば誰でもお金を簡単に得られるわけではないことを心得てください。
また、補助金の場合は、採択が決まった後もルール通りに手続きしなければ、補助を受けることができません。補助金によっては、せっかく採択されても面倒くさくて辞退される方もいるほどです。
融資も補助金も、申請準備~申請~実行までが時間がかかるため、計画的に取り組みましょう。
②相手を知る
申請書を提出するということ、必ず「相手(=読み手)」がいます。
融資の場合は、銀行や信用金庫、日本政策金融公庫、補助金の場合は行政が提出先になります。
「相手(=読み手)」は、1日に何人もの書類を見ます。つまり、一つの書類に多くの時間をかけられないことになります。そのため、分かりやすく書類をまとめる必要があります。
以下は、書類を分かりやすくまとめるために意識をしてもらいたいポイントになります。
- ルールを守ること。ガイドラインがある場合は、きちんと読み込みガイドライン通りに作成する。
- 相手が求めていることを、分かりやすく書く。
- 簡潔にまとめることを意識する。(だらだら書けばよい、ということではない)
まず、「ガイドライン」や「書き方の説明書」がある場合は、しっかり読み込むところから始めましょう。ガイドラインには許可・採択のためのたくさんのヒントが隠されています。
そもそも、大前提ルールの守られていない申請書の印象はよくありません。アピールすべきポイントが多いからと言って、フォントをあまりにも小さくして読みづらくすることも、「枚数指定」があるにも関わらず無視してたくさんの書類を添付することも悪手と言えるでしょう。
相手(=読み手)はルールの守られた書面に慣れています。最低限のマナーですので、必ず「ガイドライン」や「書き方の説明書」は読み込むようにしましょう。
次に、「相手が求めていることを分かりやすく」という点については、相手がその申請書を読むことで何を知りたいかをまとめる必要があります。
金融機関の場合 融資の申請書の場合、金融機関は「確実に返済できるプランかどうか」ということを気にしています。つまり、確実に収益があがるのか、費用は無理をしていないものなのか、根拠に基づいて作成されているのかを知りたがっています。この問いに答えるように書く必要があります。
行政機関の場合 補助金の申請書の場合、行政は「補助金を投入して、どのようなメリットが社会にもたらされるか」ということを気にします。補助金にはそれぞれ目的があるため、その目的に合致する事業であること(事業の意義)、また確実に収益化(=社会に還元されるかどうか)ということを知りたいはずです。
上記に限らず、相手が求めていることを意識して申請書をまとめるようにしましょう。
最後に、簡潔にまとめることに関しては、相手に知ってもらいたい大事なポイントを漏らすことなく、かつ、長すぎないようにまとめることがポイントです。社内提案資料や他の用途で使用した「事業計画書」などを、そのまま添付するなどすると、場合によっては長すぎて読んでもらえないこともあります。先に説明した「ルールを守る」にも共通しますが、あらかじめ枚数が決められている場合があります。

(行政書士)
読み手の気持ちになって、分かりやすく書類をまとめましょう。
③根拠のある計画書を書く

事業計画書の構成は、概ね図表の通りとなり、主に【仕組み】【お金】【行動】の内容から構成されます。
まずは企業理念やビジョンといった事業の意義、それから事業領域や販売戦略等のビジネスモデルを書きます。これは企業を動かすための仕組みの部分です。
次に、収支シミュレーションや実現可能性といったお金について触れます。
そして最後に、これらを動かすためには行動を起こさなければなりません。それについてのアクションプランを書きます。
融資や補助金の申請の際に作成する事業計画書は、②で知った「相手が知りたいこと」に特に重点を置いてボリュームを膨らませます。各機関が知りたいことには傾向があり、その傾向に合わせて上記の【仕組み】【お金】【行動】のうち核となる部分を膨らませます。
事業の意義 | ビジネスモデル | 収支 シミュレーション | アクションプラン | |
---|---|---|---|---|
自分自身の整理のため | ◎ 重視して作成 | ○ | ◎ 重視して作成 | △ |
融資申請のため | △ | ○ | ◎ 重視して作成 | ○ |
補助金申請のため | ○ | ○ | ○ | △ |
特に融資の場合は、収支シミュレーションを重視する側面が強く、また補助金の場合は事業の意義やビジネスモデルが補助金の目的に合っているかも意識されたほうがよいでしょう。
融資の申請の際に気を付けるべきポイント
融資の際に提出する事業計画書については、特に気を付けるポイントとしては数字をしっかりと詰めることです。金融機関が一番気にしているのは「貸したお金が確実に返済されるか」ということです。返済のことを一番に気にしているため、収支シミュレーションの精度の高い事業計画書を求められます。
- 実現可能性のある根拠のある数字の積み上げを意識する
- とにかくかために読む
⇒具体的には…「経費は多め」「売上は少なめ」が基本! - プラスの情報は積極的に証拠書類も添付する
⇒例えば、新規に締結が決まっている契約書など(売り上げが確実に上がることをアピールできるため)
上記に加えて、融資担当者は何社も担当することから枚数は少なく簡潔に、でも情報の不足なくまとまった事業計画書が好まれます。
補助金の申請の際に気を付けるべきポイント
融資の申請書を作成するうえで、特に気を付けるべきポイントとしては先にも述べましたが「ガイドラインに則た書き方がされているか」ということと、「収益はなるべく早く上がるビジネスモデルが好まれる」ことです。
- ガイドラインをまずしっかり読み込む
⇒書き方などのルールは最低限守る - 補助金自体の目的や意義を理解した内容にする
- 収益は早く上がるビジネスモデルが好まれる
補助金の場合、その事業に行政から補助を行いビジネスが発展することで、地域や国に還元されることが期待されています。そのため、補助の目的に合った内容であることはもちろんのこと、なるべく早く収益化するものが好まれます。収益化するということは、そのサービスが提供されることで豊かさをもたらし、また、税金となって還付されることになります。
世の中に確実に貢献することを意識した内容の申請書に仕上げましょう。
まとめ
以上、融資や補助金申請の際のポイントの解説を致しました。
融資や補助金も事業計画書など、共通した書類を出すことが多いですが、メリハリをつけるポイントは違います。また、どちらも読み手を意識した書類にすることで、「門前払い」は少なからず避けられるはずです。まずはガイドラインや書き方の説明書などを読み込むところから始めましょう。
(行政書士)
融資・補助金ともに申請の際には「事業計画書」が必要です。「事業計画書」を書く際に、共通して抑えたほうがよいポイントを解説致します。