融資における担保について

担保について

金融機関から融資を受ける場合、たいていの場合は何かしらの担保が必要になります。担保には様々な種類があります。本編では、融資において担保にできるものについて解説いたします。

借入には担保が必要!?

中小企業が金融機関から融資を受ける際には、基本的には何かしらの担保が必要です。
実は、日本政策金融公庫の創業融資制度のような「無担保・無保証人」の制度はかなり珍しい制度になります。
基本的には、融資を受けるためには融資額に見合った担保が必要です。

担保には大きく分けて3つの種類があります。

  • 物的担保
  • 人的担保
  • 信用保証協会の保証

物的担保とは、不動産担保のような土地や建物に抵当権を設定したり、動産に譲渡担保を設定する担保です。また、財産となりうる権利にも担保にすることができます。
また、人的担保とはいわゆる「保証人」・「連帯保証人」のことです。債務者以外の法人や個人と契約を交わして、債権者が返済困難に陥った際に、代わりに返済してもらう担保になります。
信用保証協会は、企業の信用を保証する形で中小企業の資金調達を円滑に進める役割を持ちます。もし、万が一返済が困難になった場合は、企業に変わって代位弁済を保証協会が行います。このような仕組みがあるために、金融機関は安心して融資をすることができます。

物的担保とは

ここでは担保の中でも物的担保について説明していきます。
人的担保(保証人・連帯保証人)については、以下の記事を参考にしてみてください。

不動産担保について

不動産担保は、金融機関の融資の担保でも主になってきます。

そして、不動産担保の代表的なものは土地建物です。
これらの担保設定方法としては、抵当権や根抵当権の設定が主です。抵当権とは、特定の債権に対して不動産に設定する担保権です。根抵当権は、一定の範囲内の不特定の再建を極度額の範囲内で設定する担保になります。

建物

建物は年月の経過によって価値が減少します。金融機関は建物の年数や目的から評価を行います。代表的な計算方法は原価方式収益還元法の2つがあります。
収益還元法は、建物が賃料等の収益を上げる物件である場合に使用される計算方法であり、収益価格を合わせて評価をしていくものです。

原価方式 建物評価額=建物の延べ床面積(㎡)×再調達価格の平米単価÷耐用年数×残存年数

収益還元法 収益価格=一定期間の純収益÷還元利回り

金融機関は、建物の価格評価を行った後に、さらに4〜6割少なめに見積もります。
よって、建物の状態次第ではマイナスの評価になることもあります。

土地

土地の場合は、建物のように経年劣化がなく、有価証券のように価値の上下動が激しくないため、非常に心強い担保となります。
ただし、ただ「持っているだけ」ではなく、担保として評価されるには「売れる土地」である必要があります。つまり、買い手のつきにくい土地は、担保として評価されません。

担保の一般的な評価方法は下記になります。

土地評価額=敷地面積(㎡)×路線価

路線価は、国税庁が毎年公表している道路に面する標準的な宅地の1平方メートルあたりの価格です。(路線価についてはこちら
また、金融機関は建物と同様に計算式から3割ほど少なめに見積もります。

動産担保・債権担保について

動産担保・債権担保は担保としては不動産担保としては少数派です。
その中でも、担保となりうるものは以下になります。

  • 売掛債権
  • 在庫・設備投資等
  • 受取手形
  • 預金
  • 有価証券
  • 保険金

上記の中でも、売掛債権を担保とするのが主流です。主にノンバンクが積極的に行っています。
どれも換金性がポイントになってきます。特に設備投資や有価証券は「売れるだけの価値」がないと担保になり得ません。これは、建物と同じ考えになります。

まとめ

以上、担保について説明いたしました。
担保には、物的担保、人的担保、保証協会からの保証と様々なものがあります。金融機関から融資を受ける場合は、担保というと「土地や建物」といった物的担保が好まれます。特に、土地は評価がしやすく担保にしやすい特徴があります。また、その他の場合には担保になりうるかどうかは、換金性がポイントになってきます。

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おおくぼあきこ行政書士
東京都行政書士会所属 行政書士(登録番号:20080167) クライアントの視点を第一に、明るい笑顔と前向きな心を大切に日々業務に取り組んでおります。 <経歴> 2011年 立教大学経営学部卒業 2011〜19年 都内の菓子メーカーにて営業職として勤務 2019年 都内の行政書士事務所にて勤務 2020年 行政書士登録 2020年8月 ネクステップ行政書士事務所 開業